師匠ができました ページ20
そして1週間経過
『ぜぇ…ぜぇ…アグゼルの鬼畜ぅ…』
「これぐらいでへばってんじゃねーよ
お前はHPもMPも、どっちもヤバイほど持ってるだろ?」
アグゼルの教え方はまさに鬼畜だった
屋敷の周りを十周、すごく強いゴーレムを一気に五体相手する
…これ12歳がする内容じゃない!
てか屋敷ってすっごいデカイんだよ!?
なのにその周りを十周…
『ならなおさらでしょ!?
妖精とか、魔法の知識をつけたいの!』
このやり取りも1日に何回もする
私に必要なのは知識であってHPやMPを増やすことじやない
と言うかもう増やせないし
「ハァッ!
今のお前にはそんなの不要だ」
『鬼ぃぃぃっ!!!!』
こんな日が続き
私は耐えられなくて«移転»した
『…どこ、ここ』
着いたのは森の奥…だと思う
ただし、目の前には可愛らしい小屋がポツンと建っていた
不意にガチャリと扉が開く
「…君、どうしてここに?」
出てきたのはローブを被ったおじいちゃんだった
しわがれた声に、曲がった背中
長く白い髭はどこからどうみても魔法使いだった
『…わかりません
鬼畜教師に逃げたくて«転移»したら、ここに着きました』
「ククク…そうかそうか
よかったらお上がり、茶くらいなら出せる」
私は家に上がらせてもらうことになった
中もすごく可愛くて、おじいさんなのに乙女趣味なんだなと思ってしまった
出された紅茶を飲みながら軽く雑談する
『本当に酷いんですのよ
私には不要な練習ばかり、魔法と言うよりあれは物理攻撃ですわ
もっと魔法とか妖精とか、そういうのを勉強したいんです』
「ほう…なら私が教えてあげよう
私はかつて王宮魔術師だった、多少のことは見てやれる」
…え、王宮魔術師?
「ククク…そう、王宮魔術師
私の作った薬は強力でね、飛ぶように売れた」
『へぇ…それはすごいですわね
でも…お願いしても、良いのですか?』
そこが心配だ
だってまだ私は名前すら名のっていない
まして格好的には良いところの令嬢だが
さすがにどこの誰かはわからないはず
「別に良い、そのかわり
お前は私を師匠と呼べ、わかった?」
『はい!私はアリス・オグナーズです
これからよろしくお願いします、師匠!』
何故か優しそうな師匠ができました
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