検索窓
今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:13,922 hit

運命のひと sgi ページ7

you side

『あのっ、須貝さん?ですよね。隣に越してきたものです。』

表札に書いてあったから間違いないし、表札を確認するまでもなく須貝駿貴さんだって知っていた。

須貝駿貴。
QuizKnockのメンバーの一人。
わたしの運命の人。

QuizKnockの動画を見て、この人は運命の人だとわかった。

なんとかして逢いたい。
逢ってみたら彼も運命を感じてくれるはずだから。

逢いたい。
ただそれだけの気持ちでここまでやってきた。人は気持ち一つだけ一生懸命になれるらしい。

「えっと、名前はなんて言うのか、教えてくれない?」

『Aです。』

「そう。」

話せた。
話せた話せた話せた。
若干そっけない気がするけど気にしていられない。

わたしは須貝駿貴に会うためだけに東大に入り、須貝駿貴の家を突き止めた。
須貝駿貴のことなら全部知ってる。
女性経験だって。ね。



『ここが、東大ね。』

別に東大に興味があったんじゃない。
須貝駿貴に興味があっただけ。

でも、東大に入ってさらに近づけたと思うとぞくぞくする。

「ねー、駿貴ー。」

甘ったるい声。
うるさい。

は、駿貴っつったかこいつ。

「なーに、さーちゃん。」

喜色がにじんだ声。
間違いなく、須貝駿貴の声。

ふざけんな。
ひとの運命の人を奪ってるんじゃない!
あんたごときが須貝駿貴と一緒になれるとでも思ってるのか、あきれる。

即刻切腹してほしい。

『くっそ。ややこしくなった。』

仕方ない。

須貝駿貴が傷つくようにあいつから、振らせないとだめだな。

手段は悪評でいいだろう。

『ねぇ、須貝先輩っているじゃん。聞いた話なんだけどさ、・・・』


「う、うう。俺はなんもしてないのに。なんで、さーちゃん。」

隣から泣き声が聞こえた。
うまくいったらしい。

『あの、須貝さん?どうしたんですか。』

隣の人物がこうやって声をかけてきても怪しくはない。

「ああ、ちょっと、失恋しちゃって。」

『え、須貝さんみたいな素敵な人が、ですか?』

「そうだよ。彼女から。」

『須貝さん。私の部屋で一緒に飲みましょう。』

「え、」

『私も飲みたかったので。飲みましょう。そして忘れましょう。』

「じゃあ、よろしくするわ。」

よっしゃ、家に上がらせることができた。

「でさー。さーちゃんはさー、超電導の話をしてもいつもつまらないんだって言われて。」

『わたしは。超電導のお話、できますよ。』

揺さぶれば堕ちるだろ。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わかれどころ。 x他1人 | 作成日時:2020年4月5日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。