帰り道 fkr ページ2
福良side
彼女との帰り道。
「星が、綺麗だね。」
理系の僕が言っていいのかよくわからないが、俺なりに勇気を出して言ってみた。
有名な文豪のの言葉を使って。
あなたはわたしの気持ちなど知らないのでしょう。
『今日は少し肌寒いですね。』
文系の君は意味を瞬時に理解してニヤニヤとしてそちらも先人の言葉を使ってきた。
手、繋ぎませんか?
「ふふっ、いいよ。」
手の握り方を恋人つなぎにしてみる。
不思議なことに緊張はしなかった。
この、いままでだったらあり得ない雰囲気のおかげだろうか。
『福良さんと恋人つなぎなんて、緊張しちゃうよ。』
蚊の鳴くような声だけど僕には聞こえちゃった。聞こえてないと思ってるのかな。
今日は、皮肉だが長引いてしまった仕事とAを送って来いと言ってくれたCEOに感謝。
彼女の家の前までやってきた。
お別れかな。
「じゃあね。また、オフィスで。」
名残惜しいけど、引き留める勇気なんてなかった。
『____』
「え、なんて言ったの?」
今度はよく聞こえなかった。さっきのつぶやきと同じくらいの音量だったし。
『寒いです。』
抱きしめて。
恥ずかしそうに言った言葉。
手をつなぐのは楽勝だけど、抱きしめられるのは恥ずかしいのか。
あ、あるいは。
「手をつなぐときもほんとは緊張してたの?」
こくん。真っ赤になって。
「あははっ、強がるのも無理になっちゃったか。」
思わず笑ってしまった。
ふらりと近づいてきつく抱きしめる。
手を握るときとは比べ物にならない強さで。
ああ、もう。
『すき、です。』
え、
『遠まわしに伝えるのも悔しくて、だから、直球で。』
「俺も。好き。」
気が付いたら言っていた。
この時、好きだといえていなくちゃ後悔する。
だから、
「付き合って、もらえるかな。」
疑問形に見えて拒否権なんてない。
重い、かな。
『喜んで。』
即答だったけど、そのあとに耳元でぼそりとささやいた。
『私、重い女かもしれませんよ。』
「ふっ、ふふふ。あはははは。」
いきなり笑い出した俺をあっけにとられて見つめる彼女。
「似た者同士だね。俺も重いかも。」
『なら、受け入れます。』
「うん。ありがと。」
大好きな彼女。
fin.
_
純愛って難しい
from.わかれどころ。
34人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかれどころ。 x他1人 | 作成日時:2020年4月5日 23時