28話 ページ29
アッくんが死に、事情聴取が終わり、久々に店に顔を出せば、
「花垣Aさ〜〜〜ん、貴方はクビで〜す」
と言われた。
「……ああ、了解で〜〜す」
少し笑って店長の真似をする。……そりゃそっか。2週間も無断欠勤したもんね。いやあ、こうなったら、直人に世話んなろ。
「あー、だっるーい」
◆
「ねえ、直人。この際、過去のヒナタに自分の未来を伝えたらどうかな？直人の時みたいに」
「却下です。Aさん、楽しようとしてません？」
だって……。
「おかしい人だと思われて姉さんに嫌われたらどうするんですか？そんな話信じる訳ないでしょう？
ボクはあの頃たまたまオカルト的な事にハマってたから信じただけです。普通は信じません」
「でも、私とヒナの仲なら……！！」
「却下です」
勢いよく言われて思わず体を仰け反らせるように下がる。
「千堂は死んでもう佐野に会う事もできません。いや、会うことは出来ますが、あまりオススメできない」
アッくん通しても危なくね？それ。
「姉を救う為には、やはり過去に戻って東卍をどうにかするしかない」
「振り出しに戻る……か。はあ、ドラケンさえ生きてたらなー。言ったでしょ？昔の東卍のナンバー2でさ、佐野の一番の理解者って感じで。ドラケンさえ生きてれば、東卍はこんなヤバい組織になってないと思うんだけど。
佐野は、ドラケンが死んでからおかしくなったらしい。アッくんも言ってたし」
「確かに……東卍の巨悪化の原因稀咲がNo.2になることもない」
そもそも、なんで稀咲は東卍のナンバー2になれたんだろ。ドラケンが死んで傷ついた佐野の心に付け入ったのか？もしそうなら、私にも勝ち目あるかな……。
「Aさんが事情聴取を受けている間に、約束通り、龍宮寺堅の死について調べました」
「マジ！？」
「当時の新聞の1文を抜粋します。
2005年8月3日、東京都渋谷区の駐車場で暴走族のグループ50人が乱闘。中学生(15)がナイフで腹部を刺される等の暴行を受け死亡。
この中学生が龍宮寺です。ネットに当時のことを書き込んでいる文がいくつかありました。それによると、東卍のマイキー派とドラケン派による内部抗争によって、龍宮寺は死亡したようです」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
