26話 ページ27
「なぁ、覚えてるか？中2の夏、オマエがキヨマサ君に逆らった日。みんな帰った後オマエがオレにこう言ったんだ。みんなバラバラになって、大人になって出会ったら、どんな話するのかな？って」
「もち、覚えてるよ！」
「こんな話はどうか……なオマエを線路に突き落としたのはオレだ」
私の笑顔が固まった。そして、だんだんと表情が崩れていく。
「……笑えねえよ、ンな冗談。アッくん、そんな人じゃないでしょ？」
声が震える。
「冗談じゃねえよ。確実に殺したはずだった、でも助けたやつがいた。橘 直人だ！あの時、橘直人はお前が線路に落ちることを知っているように見えた。
変な事言うけどさ……ひょっとしてAオマエ……過去に戻れるんじゃねーか？？そして過去の橘 直人に助けを求めた」
はたから見たらイカれてる奴だが、その通り過ぎて何も言葉が出ない。
「そうだろ！？じゃなきゃおかしいだろ！！？知ってでもいなきゃ助けられる状況じゃなかった！！なぁ！？おかしいだろ？なあ！！」
詰め寄ってくるアッくんの肩を押して何とか止める。
「仮にアンタの仮説が当たってたとして、それが何！？どうしたんだよ、アッくん！私の知ってるアンタじゃない！
アッくんはいつも冷静で、友達の為に自分を犠牲にできて、優しくって……頼りになって……だから……だから……そんなのウソだっ！なんかの冗談だ！じゃなかったら夢だ！！
アッくんが私を殺す訳がない！！！私の友達だ！……ねえ、アンタ誰だよ？アッくんじゃないでしょう！？」
頬に涙が伝った……やっば。ヒスになりすぎた。
私の叫びを聞くと、アッくんはハッとして手を離し、よろよろと後ろに下がる。
「A、いつからこうなっちまったんだろう？オレは今や稀咲の兵隊だ。東卍の奴らはみんな稀咲の言いなり。マイキー君なんてもう何年も会ってない」
「……ねえ、アッくん、今からでも遅くないよ。東卍なんてやめちまえよ」
「……ハハ、無理だよ。怖ぇんだよ、ただひたすら稀咲が。A、マイキーが変わったのはドラケンが死んでからだ。死ぬべき人じゃなかった。
死ぬべきじゃなかったドラケンが死んで、オレは汚ぇ金ではしゃいでいる。オレ、憧れてんだぜ。叶わない相手を笑顔で煽ったり、泣きながら踏ん張ったり、女なのに男に立ち向かったりするオマエに。
過去に戻ってオマエが助けたいのは……アイツか。究極の愛だな。がんばれよ、A。みんなを助けてくれ」
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作者名：くー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時：2022年7月4日 20時
