雪が嫌いだった宇髄天元が雪を好きになった理由。3

EPISODE 99 ページ5

【Aside】




目を覚ませば辺りの建物は崩壊しており、最初に来た時とは目を疑うほど全くの別の場所と化していた。




Aが妓夫太郎に刺された時の場所ではなく、瓦礫があまりない所にいた。





おそらく宇髄が運んでくれたのだろう。






体を起こそうとするも、腹部に激痛が走る。






『グｯ…!!』





それでもなんとか立ち上がり、出血を止めるために、来ていた羽織をビリビリと引き裂く。


それを腹部に巻き付けてキツく縛る。





ﾌｩｰ、ﾌｩｰ。




あまりの痛さに額に汗が滲む。






(みんなは…？)





宇髄もその場にはいなくなっていた。





耳を傾けると、少し離れた場所で音が聞こえる。






(みんな、まだ戦ってる…。)





ふらつく足を必死に立て直して、刀を落とした場所に戻る。





(早く…、早く…！！)




二本の日輪刀を鞘に収めて、音のする方へ向かう。




(急げッ！)




足に力を入れる度に腹部の怪我が開いて血がじんわりと出てくるのがわかる。





(止血…。止血しないと…。)





慌てて呼吸を整える。




いつの日か煉獄との任務で怪我したときに呼吸での怪我の塞ぎ方を学んだことを思い出す。





(煉獄さんに教えて貰ったことを思い出せ。)




集中して破れている血管をさがす。


そして、そこに集中して呼吸を行う。





フゥー。フゥ。






煉獄｢集中!!!」





(そうだ。集中しろ……)




グッとお腹に力を入れると血管が塞がったのがわかった。



止血できた。





しかし止血できたからといって、痛みが消えるわけでも、急に動けるようになるわけでもない。






Aはボロボロの体で皆の所へと向かう。








(この体が持つのも時間の問題だ…。

最後に、私にできること……。)




・


たどり着けば、宇髄と炭治郎が妓夫太郎と戦っていた。



宇髄が妓夫太郎を押し切って、その後ろから炭治郎が跳び出る。




しかし、妓夫太郎はそれに反応して鎌を振り上げた。




(動け…。 炭治郎君を守れ…！)




痛みに耐えながらAは地面を力を強く蹴った。





雪の呼吸 壱の型 細雪(ささめゆき)!!

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