Call me back again【短編集】

甘いのは好きじゃない -izw ページ35

*



『手作りチョコね〜…………』

｢いや、そんな俺の聞こえる音量で言うなよ｣



スマホで色んなニュースを見ていたらふと恋愛系のコラムが目に入り、流し見しているとバレンタインの記事が現れた。

最近はチョコだけでなく、手作りのお菓子なら何でもいいみたいな風潮があるらしいが、付き合って2年くらい経って同棲も始めた彼氏に手作りのお菓子など渡したことがない。



『去年だっけ？手作りして欲しいって言ってきたの』

｢毎年言ってるし何なら付き合う前も言ったわ｣

『手作りより絶対既製品の方が美味しいじゃん？』

｢味じゃなくて気持ちだから！バレンタインって！｣



そんなに手作りにこだわる理由があまり分からない。
気持ちなら割と伝えてる方だと思うし、夜の営みだって定期的にしてる訳だし…何がそんなに不満なのだろうか。



『ん〜、じゃあ拓司』

｢なに？｣

『好きだよ』

｢え、あ、ありがとう…俺も、ってそうじゃねえ！！｣

『ぷっ、あははっ！』

｢おいAてめぇ…｣

『口が悪いよクイズ王？』



うん、これくらいふざけ合えるなら何の問題もないと思うんだけどなぁ。
そう考えていると明らかに不機嫌になった彼氏が口を開いて、



｢そんな俺に作りたくないわけ？｣

『え？』

｢別に既製品だって嬉しいけどさ、そんな毎年作るの拒絶されてると、ちょっと傷つく｣

『あー…』



なるほど。
中高男子校育ちで全然手作りチョコに縁がなかったから拗らせているのかと思ってたけど、そうではなさそうだ。


｢心の声聞こえてるよAさん？めっちゃディスられてるじゃん俺｣

『あれ、漏れてたか』

｢絶対わざとだろ｣

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