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Aの家から電車を乗り継いで40分ほどでオフィスの前まで着いた。
家を出る時のAの寂しそうな声が頭に残っているが、ここに来たからにはさっさと問題を解決して、出来るならAのところに戻ろう。
インターホンを鳴らすと出てきたのは電話をくれた福良さんだった。
「川上、ごめんね突然。来てくれてありがとう」
「いえ…。で、サーバーどうなってるんですか?」
「うん、とりあえずこっち来て」
そう言う福良さんが促した方に行き、部屋の扉を開けた瞬間、
「「「『Happybirthday!!!』」」」
パンッ!というクラッカー音と共に入ってきた声は、俺の誕生日を祝う声。
「えっ……?」
『誕生日おめでとう、拓朗!!』
「えっ、まって、なんでAがおるん??ってかサーバーのって…??」
「あんなの嘘に決まってるだろ!大晦日まで仕事させるようなブラックじゃありませんウチは!」
「じゃああれは全部嘘…?え、福良さん?」
「あはは、ごめんね、でも考えたのも行動したのもAだから。汚れ役は買わされたけど」
動揺が隠せなくて福良さんに説明を求めると、大晦日当日にオフィスで集まる皆と一緒に、昼間にお祝いの用意をしていて、夜に2人でいるところを福良さんの呼び出しで離れ離れにし、Aは先に伊沢さんの車でオフィスに到着してサプライズということだった。
テーブルにはAが用意したという料理とケーキが並んでいて、須貝さんがお酒を注いだコップを渡してくれた。
Aが乾杯の音頭を取り、年の最後の宴が始まる。
『拓朗、驚いてくれた??』
「いや、めっちゃ驚いたわ…。さっきめっちゃ寂しかったんに、ここにおるとは…」
「あーー、川上がデレてますー、伊沢どうしますアレ」
「ちょっ、須貝さんからかわないでください」
「そうだなー惚気けるのは意外だったな。幸せそうだし今日はいいんじゃね?バースデーボーイだし」
「じゃあ許しますー」
『ははっ、拓朗許してもらえたよ?良かったね』
「なんやAまで…もう」
サプライズなんて、考えてもいなかった。
そもそも誕生日を言ってなかったのだから。
「ありがとうな、A」
『いいえ、喜んでくれたなら何よりだよ』
ヒューー!と周りから歓声が上がる。
こういう所を見られるのは恥ずかしい。けれど、今日だけはいいかな、なんて思ってしまった。
fin.
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浅間(プロフ) - いろさん» 返信が半年近く遅れてしまいすみません…!!!!コメントありがとうございました!好きと言っていただけてとても嬉しいです…。マイペースな更新で申し訳ないですが、もしよければ今後ともよろしくお願いします! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 今更感すごいですがコメント失礼します!前々からすごく好きで見させていただいていたのですがとうとう好きが溢れました。好きです。失礼しました。 (2020年3月4日 21時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅間 | 作成日時:2019年10月24日 17時