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エリスお姉ちゃんと遊んで、
リンタロウおじ様にお茶を淹れて、
治お兄ちゃんとお話しして、
沢山の本を読む。
たまに皆で外に出かけたりもしたけれど、
基本的な行動範囲はビルの上だ。
前田が、その方がいいって言ってた。
中々危ない世界だからって。
まぁ…そんな風に過ごしていたら、
1年が過ぎていた。
特に不満はない。
本丸の閉じこもり生活と何ら変わりないもの。
「A、次はこちらを着てみるのじゃ。」
『はい、姐さま。』
若干の舌足らずが直った今日この頃、私が知り合ったうちの一人、尾崎紅葉さん。
とても美しく優しい人で、私を本当の妹のように可愛がってくれている。
『どう、かな…?』
「ああ、愛いのう…。
本当によく似合っておる。」
『ありがとう、姐さま。』
姐さまが選んでくれたか着物はとっても煌びやか。
嫌いじゃないけど、少し落ち着かない。
…燭台切や加州も、こういうの着せたがってたなぁ…。
「そうじゃA、前田はおるか?」
『あ、前田なら…』
「僕に何かご用ですか尾崎殿。」
姐さまの後ろにいますよと言う前に、前田が返事を返した。
「おぬしいつからそこに…!」
「さぁ、いつでしょうね。
密偵が
「食えぬ奴じゃ…。」
やりとりが殺伐としてきたところで私は慌てて声を出す。
『姐さま、前田にごようじ?』
「…おお、忘れるところであった。
前田よ、Aをわっちの直属の部下と会わせるが、よいな?」
『ぶか?』
首を傾げれば姐さまは微笑む。
「そうじゃ!少し前に出来た部下じゃが、中々見所のある
齢も太宰と同じでAに近い!部屋にいると暇であろう?話し相手にどうかと思ってのう。」
嬉々として話してくれる姐さまはとっても楽しそうだ。
「きちんと教育は済んでいるのですか?」
「無論じゃ、済んでいなければ愛らしいAに会わせようなどとは思わぬ。」
「そうですか。
それでは、僕に誓えますよね?
その方は絶対に主君を傷つける輩ではないと、
ご自身のその命をかけて、
僕に、誓えますね?」
『ま、前田!?』
神様との誓いは絶対。
それに命をかけさせるなんて!
「主君、これはとても大事なことなのです。
僕らは、
僕は、
もう二度と、失いたくない。」
『!』
私は言葉を失うしかなかった。
「不安そうな顔をするでないA、わっちは決して害のある者をそなたに会わせぬ。
この命にかけて、それを誓おう。」
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Hi! - はじめのエリスちゃんの言葉にやられました。好きです! (2019年7月14日 23時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
しの - マッジで面白いねんけど 更新待ってますね (2019年7月12日 0時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - わさまんさん» それに気が付くとは…。知られたからには…。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - silentさん» ありがとうございます。いいことがあって悪いことがあったら次はまたいいことが来ますよ。例えば賽子6・6とか。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - KISH○W推し(女)さん» ちゅやはいいぞ。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノン | 作成日時:2019年6月6日 19時