43.助けてもらう話 ページ45
一人で慌てふためきながら、とりあえず反対側の壁まで転がって安全を確保する。もしここまで瓦礫が飛んできたとしても、それで死なないことを祈る他ない、そう思っていたのだが。
目の前の壁は、刀で一刀両断されたかのような斬れ味で見事崩れていった。人ひとり分サイズの穴が開き、そこを通って雲雀さんがやってくる。数時間ぶりの再会なのに、もう何日も会ってない気分だった。
｢僕と違って、随分丁重に扱われたみたいだね｣
｢んん……｣
この状態が丁重かは分からないけれど、確かに雲雀さんのボロボロ具合を見ると納得してしまう。棘のようなものが出ているトンファーは並の斬れ味ではなく、鎖さえいとも簡単に斬ってしまった。口から布を取り出して、ようやく口呼吸することができる。
助けてもらえたことも見つけられたことも嬉しくて、つい笑顔になった。普段は雲雀さん怖いけど、お礼はしっかり伝えなければ。
｢あ、ありがとうございます！雲雀さん！｣
｢………まぁ、悪くないね。それ｣
｢あっ、このポニーテールですか？実は私、雲雀さんがいない間に色々ありまして……はい。黙ります｣
話そうとしたのに、なんかギロッと効果音がつきそうなくらい睨まれて押し黙る。さっきまでちょっと嬉しそうだったのに、相変わらず雲雀さんの感情の変化についていけない。
｢おいお前らぁ！いつまで俺達を無視してんだ！！｣
｢あっ、や、やっぱりあの時の……！｣
山本さんが倒したと思われたその人は臨戦態勢でこっちを見ている。この部屋の出口は一つだし、そこの前に立たれたら出られなく……
｢邪魔｣
……雲雀さん、その人、山本さんがそこそこ苦労して倒した相手なんですけど。一撃を叩き込み、壁に激突するライオンのような見た目の男。ピクリともせず、なんだか不憫にすら思えた。
｢犬！｣
｢次は、君を咬み殺す｣
｢ひ、雲雀さんすごい……って獄寺さん！｣
雲雀さんの後に続いて穴をくぐると、獄寺さんが仰向けで倒れていた。近寄って生きていることは分かったけど、この酷い怪我で戦っていたなんて。急いで病院に連れて行かないと。
｢獄寺さん……｣
｢っ、こ、この程度問題ねぇよ……｣
雲雀さんがこっちへやってくる。その後ろには割れた窓があって、眼鏡の人がどうなったのか考えるのはやめた。雲雀さんも獄寺さんも、もう戦える状態じゃない。私だけが無傷で、それが痛かった。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
