35.クラリネットの話 ページ37
あれからかなり歩き、改めてここの敷地の広さに舌を巻いた。この中から骸を探すのは苦労しそうだ。疲れも出てきたところで休憩も兼ねてお昼を食べることになり、山本さんが持ってきてくれたお寿司を全員で囲む。
｢じゃ、寿司と茶を配るぜ｣
｢うわぁ！山本んとこの寿司だ！｣
山本さんの家がお寿司屋さんだなんて知らなかった。やっぱり、夜ご飯は海鮮とかになったりするのかな。おばあちゃんお寿司も好きだし、今度買いに行こうと思う。
ていうか、ビアンキさんはやっぱり毒なんだ。手に持ってるえげつない色のスープに苦笑いを浮かべたが、突如、それが沸騰するようにグツグツと音を立てる。ビアンキさんの驚きように、不測の事態だと察した。
銃を構えて辺りを探ると、さっきまで何ともなかったお寿司がボコボコと形を変えていく。
｢伏せろっ！｣
山本さんの声とほぼ同時。爆発音に｢なんなのこれ！？｣と大声で慌てふためいてる沢田さんを机の後ろに引っ張る。
｢敵の攻撃です！あの沸騰するような感じは……｣
何となく予想はつくが、確証はないので黙った。お茶が吹き飛んだところで、獄寺さんが素早く敵の位置を見極めてそこへ向かってダイナマイトを放る。轟音が鼓膜を揺らし、倒したかと思われたが
｢ダサい武器｣
少し遠く、今爆破した方向から聞こえる声に目を向ける。
｢こんな連中に、柿ピーや犬は何を手こずったのかしら｣
爆発で崩れた瓦礫の上に、一人の女がいた。黒曜中の制服に身を包んだその女は、手にクラリネットを持っている。ということは、やはりさっきの沸騰するような現象の正体は、あのクラリネットから。
｢こんなみすぼらしいマフィア初めて｣
｢てめぇだって、ただの制服だろうがっ！！｣
"マフィア"
そういえば、なんか勝手にファミリーの一員ってことになってるんだよなぁ。私が違うって言ったところで、この状況は変わらないだろうけど。それに、なんだかんだ私はその"マフィア"について詳しく聞いていない。
これが解決したら、流石に聞かせてもらおう。
｢てめぇなんて気安く呼ばないでよ。
私はM・M。私だって、骸ちゃんの命令じゃなきゃこんな格好しないわよ｣
｢骸……｣
｢三人だけじゃなかったのかッ｣
｢あー、冴えない男見てると悲しくなっちゃう。やっぱ付き合うんなら骸ちゃんがいいわ。
男は金よ｣
＿＿男は金よ。ねぇ、A？
男は金。
その言葉に、母の姿が過ぎった。
｢おかあ、さん……｣
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
