31.出発の話 ページ33
｢おばあちゃん。今日は、ちょっと帰り遅くなるかもしれない｣
そう伝えると、おばあちゃんは笑って了承してくれた。私は紙にも同じことを書いて、冷蔵庫の"メモ欄"に貼っておく。このメモ欄は、おばあちゃんの病気が分かってから作ったものだ。大事なことだけ貼ってある。
昨日の残りの煮物をタッパーに移し替えて、コンビニで買った煮魚と一緒に置いておく。ご飯もお味噌汁もあるし、これで夜ご飯は大丈夫。
｢いってきます｣
私はセーラー服のまま家を出た。右の太ももにあるそれを上から触って、よしっ、と覚悟を決める。まさか、本当にこの銃を使う機会があるなんて思っても見なかった。
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渡された紙には、沢田さんの住所が書いてあった。人生初、人の家に行く。何かお菓子とか、そういうの持ってきた方が良かったんだろうか。手ぶらは良くないって、テレビで見た。
インターホンが押せずに早五分。
緊張とプレッシャーで押せない。なんて挨拶すればいいの。お母様とか出てきたら、何も持ってないし。どうしよう……。い、いや、押さなきゃ始まらない。大丈夫、普通に｢こんにちは。沢田綱吉くんお願いします｣って言えば、大丈夫。たぶん。
ピンポーン……
｢はーい、ってあら？まぁまぁ、可愛いセーラー服！｣
｢え？｣
中から出てきた人は私を見るやいなや、セーラー服が可愛い。髪も綺麗とべた褒めしてきて、羞恥から顔が真っ赤になってしまう。恐らく沢田さんのお母様だろうけど、天然なのかな。可愛いを連呼されて恥ずかしぃ……。人に褒められることに耐性が全くないから、誰かぁ。
｢そう言えば、ツーくんのお友達かしら｣
｢あ、は、はい……｣
｢そうなのね！ほら、あがってあがって｣
あれよあれよというまに、私はリビングでお茶を出されていた。玄関に靴がいくつかあったから、山本さんも来ているのかもしれない。……二階、騒がしいけど大丈夫かな。
｢母さん……って三峰さん！？｣
｢お、お邪魔してます｣
お茶菓子と緑茶を飲んでいた私を見て｢満喫してる｣と呟いた沢田さん。後ろには山本さんや、何故かリスの格好をしたビアンキさんまでいる。もう行くということか。
｢お母様。お茶、美味しかったです｣
｢いいのよ。これからも、あの子をよろしくね｣
ぺこりと頭を下げて、玄関にいる沢田さん達と合流した。獄寺さんも、どうやら外にいたらしい。
｢よし、揃ったな。
骸退治に出発だ｣
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
