26.変わらない話 ページ28
運ばれていく草壁さんを、呆然と見つめた。
『三峰、アイツらを、頼んだ』
あれは他風紀委員のことだ。私には雲雀さんのようなカリスマ性も、草壁さんのような柔軟性もないのに。人の上に立つことなんて、私にはできない。どうしたらいいのか分からずにいると、後ろから沢田さんの声が聞こえた。
｢三峰さん、｣｢私、私……｣
そもそも、なんで草壁さんが。それとも、強い人が狙われているという私の憶測が当たってる？いや、もうそんなことどうだっていい。私が、もし私がついていたら、もしかしたら人を呼べたり、何か出来ることがあったかもしれない。
｢……私の、せいだ｣
私があの時、屋上に行ったから。
私がそもそも、人に怯えてばかりいるから。
私が、
｢おい、三峰。しっかりしろ｣
｢ぁ、リ、リボーン、さん……私、私が｣
｢お前、アイツから頼まれたんだろ｣
頼まれた。たしかに、頼まれた。
雲雀さんも犯人を倒しに言って、草壁さんも今はあんな状態で、リーダーがいないから、私が頼まれた。風紀委員をまとめろと。でも、そんなことできるわけない。誰が私みたいな新米の、それも女の、弱い人間に従ってくれるというのだろう。
私は、人前に立てるほど強くない。
｢無理、です。私にはとても、そんなことできない｣
｢アイツは、お前にできねぇと思うことを頼むような考え無しのヤツなのか｣
｢それは……｣
｢……お前が怖いのは、人や、ましてやその視線なんかじゃねぇぞ｣
なんで、その事をリボーンさんが知ってるんだろう。それに、私が恐れてるのが視線じゃないって、どういう。混乱してる頭の中に、リボーンさんの声はよく通る。
｢お前は、人前で恥をかくのが嫌なだけの臆病者だ｣
｢は！？ちょ、リボーン！！｣
慌てて沢田さんがリボーンさんを捕まえようとするが、それは案の定かわされる。人前で、恥をかくのが嫌なだけ。でも、そんなの誰だってそうじゃないのか。恥をかいて、怒られて、馬鹿にされて、そんなの私は嫌だ。
｢精神疾患って言葉に甘え逃げて、本当の自分を認められない｣
｢そんなこと、｣
｢失敗を恐れねぇ強さ、弱さを受け入れる強さがなきゃ、いつまで経っても立てねぇぞ｣
リボーンさんは、それだけ言うと沢田さんを引き連れて病院内のどこかへ消えた。弱さを受け入れる強さ。私は前に、弱いことを認めたけど、それは受け入れるとは違ったんだろうか。
雲雀さんが前に言った、
"変わらないね"
という声が過ぎった。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
