11.面白いやつの話 ページ13
【視点なし】
｢こないだ、おもしれぇやつを見かけたんだ｣
リボーンは椅子に座りながらそう言った。ビアンキはそれに｢どんな子なの？｣と興味深けに聞きかえす。当たり前だ。あのリボーンが興味を持っている相手が、気にならないわけもない。
｢俺も気づけなかったほど、気配がない｣
｢っ！、リボーンが！？｣
目を見開く彼女にリボーンが無言で頷く。ヒットマンとして名高い彼が人の気配を察知できなかったという事実は、それほどまでに畏怖される。そして、そんな中学生がいるのかと、未だビアンキは半信半疑だった。
｢名前は？｣
｢三峰A、ツナ達と同じ学年だ。少し経歴を調べさせてもらったが、中々酷いもんだったぞ｣
母親からの度重なる自己否定、父親は常に不在。
こうした家庭環境は、その人の人格に大いに影響をもたらす。三峰の場合、元来の引っ込み思案と内気に拍車がかかって、劣等感から自己肯定感が薄い。
｢……それで。その気配のなさを見込んで、こっちに引き入れるのかしら｣
｢それだけじゃねぇ。アイツのおもしれぇところは、"そんなもんじゃねぇぞ"｣
人間誰しもが、いくつもの顔を持っている。それは時に偽物の自分と言われるものだ。例えば、先生に見せる顔と友達に見せる顔が違うように。そして、相反する複数の顔を持つものも少なくない。三峰はそのタイプに合致すると、リボーンは考えていた。
｢アイツは、劣等感の裏に強いプライドを持っている｣
｢プライド？そんな風には見えないけど｣
｢どんな人間にも承認欲求がある。それが満たされないなら、人は、自分で自分を肯定するしかない｣
三峰もそうだ。他人から散々下に見られて、自己否定の裏で、それを認めたくないという自己肯定する自分が存在していた。本当はプライドが高いんだろう。
故に、いくら自分で自分を肯定しても、承認欲求は満たされない。ならば、どうするか。
｢爆発するぞ、アイツは｣
発散するしかない。普段溜め込まれているストレスを、何らかの形で。
｢心理学上は"爆発者"なんて呼ばれることもある｣
｢まんまね……｣
｢シュナイダーは、爆発者を刺激型と興奮型に分けた。Aの場合、完全に興奮型だ｣
リボーンは、三峰のその二面性が面白いと思っていた。あれは上手くいけば化ける、ニヤリと笑っているリボーンを、ビアンキは惚れ惚れとした表情で見つめていた。
｢そういや、少し雲雀にも似てるな｣
弱者でいることを、嫌うところが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
