10.馬鹿にされる話 ページ12
断ることもできず、さらには緊張や不安で上手く話せないからどうしようもない。連れてこられたのは、昼間私がリボーンさんと話した場所の近くだった。つまり、人なんてほとんど来ない場所ということだ。
ガンッと壁際に寄せられて、5対1。
「それでさぁ、三峰。お前なんで俺たちを無視したわけ?」
「……む、無視…な、て」
声が上手く出ない。こんな状況になりたくなかったから、今まであれこれしてきたのに。目の前の人達は、理不尽に「うざい」「暗い」「面白くない」色んな言葉を吐き捨てる。泣きそうになって、でも泣いたらもっと言われると分かっていた。
「ちゃんと喋れよ」
グズグズと、私の中で何かが壊れていく。ちゃんと喋れないことは、自分がよく自覚していたのに。改めて人から言われると辛かった。批判の言葉は、いつだって簡単に心を切り刻む。
「黙ってないで、なんで無視すんのか言えって」
「無視、なんて、して……」
「してない?してただろーがよッ!」
ガンッと校舎を蹴りつける他クラスの男子生徒。名前は知らないけど、顔は見たことがあった。なんで見ず知らずの子にまで、こんな言われなくちゃいけないんだろう。それもこれも、まともに喋れもしない私のせい。
周りからの感覚をシャットアウトするように、体育座りで丸まった。こんな弱い姿を他人に晒すなんて嫌だったけど、誹謗中傷を聞くほうが耐えられそうにない。
__弱いことを認めようとしない人間も
__見ててイライラする。
雲雀さんの言葉を思い出した。
そうだ。本当は、私は弱いんだ。強がって、一人でも大丈夫だって、一人でいることがステータスだと思い込んで。一人でいる強さなんて持ち合わせちゃいなかった。
「てかさぁ、マスクいい加減とれば?」
いつもマスクしてんじゃん、と一人の女子が言う。するとみんな、便乗して同じことを言ってきた。こいつらは、雲雀さんで言うところの"群れている"連中なんだろう。弱いから、一人じゃいられないから、私とはまた違った弱い人間。
「どんだけ顔隠したいんだよ」
馬鹿にしたような言い方にいつもとは違ったドス黒い感情が浮かんだ。……私は、周りはみんな私より上の人間だと思っている。でも、コイツらは
「実はめっちゃブスなんじゃね」
周りがドッと笑う。私を指さして、私を馬鹿にしている。コイツらも私と同じ弱者なのに。弱いものが、弱いものをいじめて笑っている。
なんと、滑稽なことだろう。
ギリッと口から音がした。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます!すぐ修正しておきます! (2019年3月11日 22時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは!雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年3月10日 22時