この気持ちに蓋をして【shp】 ページ10
私が初めて恋した彼には、とっても可愛い彼女がいました。
『おはようショッピくん。今日の課題やった?』
「おはよ。勿論したで。逆にAやってないん?はぇー兄さんにいいつけたろ」
『ちょ、やめてよ!怒られちゃうじゃん!』
「怒られ慣れとるから別にええやろ」
『そういう問題じゃないの!』
ふわふわの茶髪に眠たげなアメジストの瞳。
緩やかに弧を描く口元に、今日も私は密かに見惚れる。
今日朝一番の優しい笑顔に、私は小さく笑みを零した。
隣の彼はいつもの如く悪戯な笑顔を浮かべながら席に着く。
2人きりの、私にとっての特別な時間が訪れた。
彼に初めて出会ったのは中学校の入学式。たまたま席が隣で、たまたま同じ部活に入った。…ただそれだけの存在。
その時はただのクラスメイトの認識が強すぎて、あまり言葉を交わすような仲ではなかったけれど、高校まで同じとなると必然と会話する回数も増えていくわけで。
今ではお互いタメ口を聞けるほどには仲良くなっていた。
「…そう言えば昨日青柳がAのこと好き言うとったで」
『…ふぅん…そうなんだ』
「あれ?あんま興味無さそうやな」
『だって私今好きな人いるし』
「そういやそうやったな。…で?ぶっちゃけ誰なん?」
『…内緒』
私が彼に恋心を抱き始めたのは本当に最近のことで、その時には既に遅く、彼にはとっても可愛い彼女がいた。
1つ上の先輩で、才色兼備の優等生。
ショッピくんは先輩達と恋のバトルロワイヤルを繰り広げ、見事彼女の心を射止めたのだと言う。
もっと早くこの気持ちに気がついていれば彼の意識も少しはこちらに向いたのかな、なんてバカげたことを思いつつ、私はいつも通りに笑みを貼り付ける。
そんなことを考えたって、最早意味が無いのはわかっているから。
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マーシャ(プロフ) - 甘糖さん» ありがとうございますー!短編集って人によって好みがはっきりと別れるので、そう言っていただけると本当に嬉しいです! (2019年12月24日 16時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
甘糖(プロフ) - え、?え?もう好き好きですうぅうぅ!!!! (2019年12月23日 22時) (レス) id: fd61314f8f (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - きのこ(em推し)さん» こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年11月9日 22時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(em推し) - マーシャさん» うわぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁ 昇天しました。ありがとうございました!!! (2019年11月9日 21時) (レス) id: 4906f728aa (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - きのこ(em推し)さん» あぁ!!よかったです!!!もうひとつのリクエストも少しだけ待っていてください!! (2019年11月9日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
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