知らない【sha】 ページ31
「先輩。なんで今日俺のクラス来てくれへんかったん？」
季節外れな赤いニット帽に可愛らしい豚のバレッタ。
キラキラと輝く琥珀色の瞳に女の子のような端正な顔立ち。
シャオロンという名の彼は、ぷぅ…と頬をふくらませながら私に問いかけた。
『え…なんでって、別に良くない？』
「よくない！俺は毎日先輩の顔が見たいの！いつ変な虫がつくかわからへんやんか！」
『…別に変な虫なんてつかないよ。それに今日は週番で忙しかったの』
「…あかん。彼氏の俺をほっといて仕事するなんて許さへんから。ずっと一緒におってぇや」
『………ごめんって』
重い彼女のようなセリフを吐きながら、彼は私の隣を並んで歩く。
既に薄暗くなっている帰路には、仕事帰りと思われる大人の姿もいくらか見られた。
「…なぁ先輩。俺な、変な噂聞いてん」
『噂？どんな？』
無言のまま歩き続ける私たち。
すると不意に口を開いたかと思えば、彼は不安げに瞳を震わせながら私を見上げる。
じっと私の瞳を見つめたまま、彼は私に尋ねた。
「先輩が、俺以外の人のこと好きなんやって。同じクラスの、トントンのこと好きなんやって。そんな噂が流れてきてん」
『……』
「嘘やんな？先輩は、俺の彼女やもんな？ほかの男のこと好きになるはずないねんな？ずっと俺のこと好きやって、言うてくれとったもんな？」
『……あのね、シャオちゃん、私…』
「せやんな。当たり前やもんな。俺のこと好きってゆうとったのにすまんな、変な事聞いて」
『………うん』
1人で勝手に心配して、1人で勝手に解決する。満足気に笑いながら歩みを進める彼を見て、私は小さく嘆息した。
…彼は、いつもそうだ。
自分の中で勝手に解釈して、相手の意見なんて聞こうともしない。
自分の考えていることが正しいのだと信じて疑わない。
どれだけ私が違うと言ったって、あの濁った瞳で私を見ながら自分の中の物語を綴るだけ。
嘘に塗り固められた世界を、たった1人で生きているんだ。
…………そうでしょう？
だって私…あなたの彼女になった覚え、ないんだもの。
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マーシャ(プロフ) - めるさん» 基本的にここにあげてるお話はツイッターで上げていたお話なので更新速度かとてつもない速さになってます笑。内容はフォロワーさんなどにリクエストとかいただいて書いてます！ (2019年9月20日 20時) (
レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - 更新スピードの速さにびっくりしています…！お話のネタってどうやって考えているのですか？ (2019年9月20日 17時) (レス) id: 00dabe47f6 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 名無しさん» ひょえ、ありがとうございます…！微妙なところで終わったので、気が向いたら続き書こうかな、と思ってます。 (2019年9月18日 23時) (レス) id: 942f8fba2e (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 猫の日の話がとても好きです (2019年9月18日 21時) (レス) id: 8e5d693f3e (このIDを非表示/違反報告)
ねおる(プロフ) - マーシャさん» そうなんですね・・・ (2019年9月17日 20時) (レス) id: 0c3e920e49 (このIDを非表示/違反報告)
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