入部した理由【shp】 ページ30
私の初めての後輩は、私よりずっと優秀な男の子だった。
端正な顔立ちで、成績は常に上位で、スポーツはなんでも器用にこなして、煽り上手。
それに何より根っからの後輩気質なので、部活内でもすぐに好かれて、私の同級生たちからも可愛がられていた。
『…ショッピくんってさ、なんでこの部活入ったの?』
部活が終わった帰り道。
偶然家の方向が同じ私とショッピくんは、一緒に並んで帰路についていた。
そんな中不意に脳裏に浮かぶ純粋な疑問。
今ならちょうど2人だけだし、聞いてみようかと私は口を開く。
「え?…突然なんです?」
『いや、確かショッピくんがこの学校入学したのって、コネシマくんがいたからなんでしょ?なら彼のいるサッカー部に入ればよかったのになって…』
「…あぁ、そういうことっすか」
私の言葉を聞くや否や、目を細めて私を見つめるショッピくん。
少し照れたように微笑んだ彼は、自然な動作で私との距離を縮めてくる。
え、と思った時には彼の指が私の指に絡まってきていた。
「先輩に一目惚れしたから…って理由じゃダメっすか?」
『……は、はぁ!?』
何言ってんの、と言おうと口を開こうとするも人差し指で塞がれてしまい大人しく口を噤む。
彼は嬉しそうに笑うと猫のように体をすり寄せてきた。
「初めは文芸部なんて興味なかったんすけど、ニコニコ笑って本を読んでる先輩見たら無意識のうちに入部届け出しちゃってました。」
『…え、えぇぇー…』
「嫌っすか?」
あざとく首を傾げる彼は、きっと自分の魅力をわかってやっている。
顔に熱が集まる感覚がして思わず私は目を逸らした。
『……別に、嫌ってわけじゃないけど…』
「そういうとことか、俺結構タイプなんっすよね」
『うるさい!』
「ははっ、理不尽」
いつの間にか片手は恋人繋ぎになっていて、私たちの距離はうんと縮んでいる。
繋がれた彼の片手がやけに熱く感じた。
「俺、先輩のこと好きなんすけど」
『…うん』
「先輩は、俺の事好きっすか?」
少しだけ自信なさげに紡がれる言葉。
その質問の答えは実質一択。
初めての告白がこんなあっさり述べられるなんてな、と思いながらも私は小さく笑みを浮かべた。
『うん。…好き、だよ』
ふわりと優しい何かが、私の唇にそっと触れた。
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マーシャ(プロフ) - めるさん» 基本的にここにあげてるお話はツイッターで上げていたお話なので更新速度かとてつもない速さになってます笑。内容はフォロワーさんなどにリクエストとかいただいて書いてます! (2019年9月20日 20時) (レス) id: cf5983d7fe (このIDを非表示/違反報告)
める(プロフ) - 更新スピードの速さにびっくりしています…!お話のネタってどうやって考えているのですか? (2019年9月20日 17時) (レス) id: 00dabe47f6 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - 名無しさん» ひょえ、ありがとうございます…!微妙なところで終わったので、気が向いたら続き書こうかな、と思ってます。 (2019年9月18日 23時) (レス) id: 942f8fba2e (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 猫の日の話がとても好きです (2019年9月18日 21時) (レス) id: 8e5d693f3e (このIDを非表示/違反報告)
ねおる(プロフ) - マーシャさん» そうなんですね・・・ (2019年9月17日 20時) (レス) id: 0c3e920e49 (このIDを非表示/違反報告)
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