続 ページ6
「見事にテンプレだねえ」そう思わず小さく呟いたが、マ、こっちだってどっかのテンプレのような生涯暮らしてんだから、そこのガキの人生を多少ハッピーにしたって文句は言われないだろ。
立ち上がり、泣きじゃくるソレに近づいた。
「なあガキ、あの風船、そんなに大事か?」
小さいからしゃがんでも目線が割と近かった。突然話しかけられた驚きで泣くのを止めたガキは、涙で潤んだ目を此方に向け、大きく、しっかりと頷いた。目元どころか耳までが真っ赤になっていて痛々しい。
「そんなら仕方ねえなあ……オレが取ってきてやろうか?」
その言葉に涙で潤んだ目は大きく見開かれ、今にも溢れそうだった。そんな顔すんなよ、目ん玉取る為にこんな行動してねえっての。
「ちょっと待ってな」
ガキから離れ、風船を良く観察してみる。赤い透明な風船は、青々とした木の葉や枝の中に挟み込まれてしまっている。……こりゃあ、乱暴に引っ張ったら割れるやつだな。ガキを更に泣かせる趣味は生憎持ち合わせてねえんだ。……仕方ねえ、登るか。
×
「お姉ちゃん、ありがとう!」
風船の側まで登り、そっと風船を枝から外した。枝を伝って降りるのはしんどいからそのまま枝から飛び降り、取ったそれをガキに渡すと、ガキは満面の笑みで受け取る。周囲からパラパラとばらけた拍手が聞こえ、ふと顔を上げると数人の野次馬が居やがった。オレはオマエ等の人生を
「別に。ただの気まぐれだ」
人に囲まれると落ち着かねえ。さっさとここから離れよう。
と、
くい、と手が引っ張られ
「お姉ちゃん、コレあげる!」
満面の笑みを浮かべたまま、ガキが引っ張った手に何かを差し込んだ。
「……」
みると、先程ソフトクリームを買った店の無料券だった。……250円か。
「風船のお礼!」
「……別にお礼が欲しくてやったワケじゃねえ「お願い!受け取って!」
被せるように言いやがった。すごい必死っつうか悲痛な顔してるし断れねえじゃんコレ。ってか周囲からの「受け取れ」って圧がやばい。なんだこの空間。
「…わかった。ありがとな」
受け取るとガキはぱあっと表情を明るくし、たたっと母親らしき人のところへ駆けて行った。目が合った母親と気まずい会釈。
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玲留@爛漫推し(プロフ) - 鬼灯さん» わかりました… (2022年7月31日 10時) (レス) id: 05df146fe9 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 玲留@爛漫推しさん» 関係申請、ありがとうございます。ですが、現在他の方と関係の相談をしているところなので、大変申し訳ありませんが契約を組むのは難しいです…… (2022年7月31日 7時) (レス) id: ac9b6be06c (このIDを非表示/違反報告)
玲留@爛漫推し(プロフ) - コメント失礼します、うちのラグンスと契約を結んでいただきたいのですが、よろしいでしょうか? CS【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kyowaro5681/】 (2022年7月30日 18時) (レス) @page5 id: bb1088a2ed (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 元素さん» お知らせありがとうございます。修正しておきます。 (2022年7月3日 2時) (レス) id: ac9b6be06c (このIDを非表示/違反報告)
元素(プロフ) - CS提出ありがとうございます!非常に申し訳ないのですが、契約者での参加の場合、契約欄に書いておくのは能力の内容のみでお願いしております。それ以外に不備はございませんので、修正をお願いします。 (2022年7月2日 20時) (レス) id: 656d2fa00c (このIDを非表示/違反報告)
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