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蜥蜴男を蹴飛ばし、猫のような彼女の手を掴む。髪とは違い柔らかな触感の毛並みに覆われたその手は、冷たかった。
「逃げるぞ！」
ふと振り返って蜥蜴男を見ると、頭を壁にぶつけて気絶したらしく、ぴくりとも動かなかった。だが、仲間が来るかもしれない事を考え、走る。
「ナナセ、どうするの？！」
後ろを付いて走るハナキが聞く。
「とりあえず安全そうな場所を見つけて、そこで治す！」
そう答える。
しかし、ふと、「大量に出血しているのに、その上更に走れだなんて辛いかもしれない」そう考え、掴んでいた猫のような彼女の腕を引き上げて横抱きにした。思ったより軽い体重と細い腕に、思わず顔を眉を顰める。
「ナナセ！」
焦ったようにハナキが叫ぶ。服が汚れるとか、追っ手が来たらどうするとか、そう言う事だろうか。
「大丈夫。俺は平気だ」
ハナキに答えると、拗ねたような、困ったような変な顔をする。抱えている彼女は、何だか俯いてしまった。何故だ。
×
狭い袋小路を見つけ、どうにかそこに滑り込む。
「ナナセ、ここは危ないよ…」
見つからないように声を落とし、ハナキは心配そうに声を上げた。先約も居ないし、周囲に人の気配も無いから大丈夫じゃ無いのか。
「いいから、……ハナキ、治せるか？」
抱えていた猫のような女性はぐったりとしており、顔色はかなり悪く蒼白になっていた。
「……、一回使っちゃったから、今は無理」
少し低い声で、ハナキは答えた。
「そう……なのか」
すっかりハナキが治してくれるものかと思っていた為に、その言葉に目を見開いた。そうしている間にも、彼女の体温が奪われていく。
「…でも、ナナセが…」
ハナキが何かを言っていたが、焦っていた為によく聞こえなかった。
「……そうだ、俺の魔法は……！」
まだ何の魔法が使えるのか分からなかったが、藁にもすがる思いで自身の手を見る。
「…魔法は１人１つだって決まってるから、難しいかも」
回復系は滅多に居ないみたいだし。そう、無慈悲にハナキは告げる。浅くなった呼吸が、段々と聞こえなくなってきた。
「……そんな」
無力感に打ちひしがれる。『治せる力があれば』そう強く願った時、手先が光った。
「なんだ、」
光り方が、色は違うもののハナキの魔法と似ているように感じ、咄嗟に彼女の怪我した箇所に充てる。と、
「すごい……治って、る」
茫然とした様子で、ハナキは言葉を溢した。
俺の魔法は、相手を治癒する力を持っていたらしい。
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鬼灯(プロフ) - 先に言っておきます、主人公にムカつくのならば、私の考えた設定に見事ハマっております。この主人公、(あるいは数名の登場人物)には、少しイラつくような、不愉快になりそうな要素をいくつか混ぜ込んでおります。主人公の察しが鈍いのもそのせい。(もはや言い訳) (2020年11月28日 12時) (
レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 蟻さん» コメントありがとうございます！頑張って完成させたいと思います。 (2020年9月27日 0時) (レス) id: 0ae018eaaf (このIDを非表示/違反報告)
蟻 - 続きが気になります！ 時間がある時で大丈夫ですので無理のない更新頑張ってください (2020年9月26日 17時) (レス) id: 25e4f6e788 (このIDを非表示/違反報告)
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