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悠木side
悠木「由加さん…渡せたって。」
斉藤「そっか…。」
舞「良かったです。」
壮馬が発見したカーディガン。
それはAちゃんのだった。
お兄さんに渡したそうだ。
私達は仕事で行けなかった、なんか悔しい。
斉藤「あれ、冷房寒いな〜って言ってよく着てたな…。」
悠木「そうだね。」
舞「……はい。」
……そのまま無言の空間が続いた。
辛いなぁ…。
しばらくして、壮馬が口を開いた。
斉藤「なんでさ。神家さんがこんな目に遭わないといけないんだろう。」
ハッとして壮馬の方を見ると、下を向いて少し震えていた。
斉藤「あぁ見えて不器用だけど、いつも笑顔でさ、仕事に対して真剣で…。」
悠木「やめて壮馬、泣いちゃう。」
いや、もうほとんど泣いてる。
舞ちゃんなんか本格的に泣いちゃったよ。
その時、ノックが聞こえてきてドアが開いた。
梅原「そろそろ時間……って。」
泣いてる3人を見て、一瞬ギョッとしたが、すぐに状況を理解したのかスタッフにもうちょっと時間を伸ばしてほしいと説得する声が聞こえた。
その間も、ただただ私達は泣いていた。
＊
遊佐「もうちょっと休憩ですって。」
安元「…そうですか。」
この部屋からは、3人の嗚咽が聞こえる。
遊佐「……俺トイレ行ってくるわ。」
安元「……俺も行きます。」
遊佐「え。」
遊佐の考えでは、安元を1人にしてあげようという考えだった。
今にも泣きそうな顔をしてたから。
安元「今……1人だったらマジで…泣くんで。」
遊佐「……安元さん、泣きたい時は泣いた方がいいですよ？溜め込むのは駄目ですから。」
と肩をポンと叩き、じゃあしばらくトイレに引きこもるから〜と言って遊佐は部屋を出た。
その瞬間、3人につられるように涙が出た。
実は今日、夢に出てきたのだ、神家が。
夢では、いつも通りみんなでお酒を飲んでいた。
楽しかった、幸せだった。
しかし、朝起きたらそれは夢だと気付き、しかも寝ながら泣いていた。
やっぱ歳か、急に涙腺脆くなったか？
無理に笑ってみるが、涙は止まらない。
＊
本番前、声優が4人泣く。
普通ならありえない事である。
しかし、誰も何も言わなかった。
それくらいしか出来ることはなかった。
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作者名：糸丸子 | 作成日時：2021年8月19日 9時
