恋模様【安元洋貴】 (ページ40)

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神家兄貴side

兄貴「水樹！」

水樹「神家！迷わなかった？」

兄貴「めっちゃ迷った…。」

水樹「もうタクシー呼んでるから。」

そう言って水樹は人混みの中をズカズカと突き進んで行った。

コイツ……すげぇな。

＊

タクシーから見える景色は高い建物か人ばっかりである。

水樹「……アンタ、昨日大丈夫だった？」

兄貴「まぁ、嫁がいたから何とか気持ちは整えれたから…まだ。」

水樹「そ…。」

兄貴「でも、やっぱ怖いのは変わんないな。」

＊

病院に着いた。

病院は愛媛とは比べモンにならんよな…まぁ、この病院高校時代1回行ったことあるもんな…。

(高校は東京なんだよ、おれ。)

水樹「……アンタ、覚悟はしときなさいよ。」

兄貴「……おう。」

病院の中は綺麗で受付では色々と聞かれ、時間が掛かった。

どうやら家族しか立ち会えないらしい。

それは水樹も初めて知ったらしい。

水樹「……私待ってるわ。」

兄貴「仕事とか、大丈夫か？」

水樹「……もう少ししたら仕事。」

兄貴「……行ってこい。ちゃんと水樹が来たことも伝えとくから。」

水樹「……頼んだ。」

そう言って水樹と別れた後、俺は看護師に連れていかれるがままついて行った。

なんか色々難しく説明されたが頭が追いつかなかった。

兄貴「あの…後遺症ってどのくらいの確率で残りますか…？」

医師「そうですね…半身麻痺や言語障害……中には人格が変わってしまう方もいます。それに、Aさんはしばらく目覚める可能性が非常に低く、このままお亡くなりになる事もあります。目覚めたとしても何十年後になる可能性も否定出来ません。」

兄貴「…そんな……。」

ガラス越しに見るAは傷だらけで、痛々しかった。

心無しか、呼吸も苦しそうに見える。

その時、看護師が話しかけてきた。

看「昨日、神家さんのご友人の方が訪れてたのですが…まだ、夜も遅かった事もあり詳しく説明出来てなくて…植物状態のまま目を覚まさないか、目覚めても障害が残るかと説明した程度で。」

兄貴「……正直俺もその位しか分からなかったですけど。」

看「……失礼ですが、ニュースはご覧になりましたか？」

兄貴「いえ、なんか…怖くて。なんて報道されてたんですか？」

看「……神家さん、飲酒運転の車に巻き込まれて。運転手は軽傷ですんで…。」

兄貴「…最低ですね。」

その言葉しか出てこなかった。