Prisonerworld【小説】

一発くらい殴らせてほしい【守】【一 颯】 ページ47

「ハァｯ！？司令部隊が前線に出てる！？！？」

通信機越しに湊が言った衝撃の事実に、勢い良く食いつく。
湊がこ、声デカイ！と言い、少し驚いてしまったらしいのを感じ、ごめん、と声量を落とす。

「……うん、分かった。ありがとう湊。」
「ん、頑張って。」

湊のそんな応援を聞き届けて、ちょっとだけやる気が出るもんだから、やっぱり自分は単純だなぁ、とつくづく思う。
…しかし、コレはマズイ、実に不味い。司令部隊、という事は四温が居たりするかもしれない。いや四温の能力アレだし、絶対居る。うわぁぁぁぁどうしよう、大勢の前で四温を庇ってみんなを裏切るか？？それとも立場を取って四温を危険な目に合わせるか？？？

…いやどっちもダメでしょ、そもそも司令部隊が前線に出てるって事は多分隊で固まってる訳で…？？それに今俺が第一部隊離れて良いのか…？？？
でも実際今激しい戦闘は起きてないけど俺があっち行った瞬間にこっちによこしてくる可能性…しか無いだろうなあ！！！
うわ性格悪いぞ司令部隊！！いやそうじゃなきゃダメなのは重々承知してるけど！！！！うわコレ俺どうすりゃ良いのさ！！！
…でもここで相手のリーダーに一発かましてやらない事には引かないかもしれない…し、それに、四温が危ない………。



「ガーディア諸君！聞こえてる！？聞こえてるよね！！非常に身勝手な判断で申し訳ないけど俺は今から前線に出てるらしい司令部隊にちょっかいかけに行きます！！！
ガーディアの通信機で話してるけど相手はコレ見越してると思うんで、今から激しい戦闘始まるかもしれない！！！ので！！全員シェルター周辺に回って欲しい！司令部隊じゃない俺が司令して申し訳ないけど！！
そういう訳で！！！説教はちょっかいかけてきてから聞きます！！！！！」

意を決して、通信機に叫ぶ。
説教は今は受け付けないので、通信機の電源を切る。スマン。
どうせ相手には何にしろ俺がでしゃばって食いついてくるのは分かってるんだろう、なら、それなら、乗ってやろうじゃないか、その策に。

だって、いつもシェルターに居て、司令してる憎たらしい奴が、今は前線に居るなんて。
相手が武術に更けてるにしろ、一発くらい、殴りたくなるじゃないか。俺はなる。

右手で左手に触れて、肉体に武器変換を行う。
まだ誰にも見せた事ないし、寧ろやったの2回しかないしクソ痛いけど、それでも、そうでもしないと、気が済まなかったんだから、仕方ないって言って許してほしい。

声で繋がる 【守】 【龍神 湊】→←今度は【攻】【甘城 アリス】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す