Prisonerworld【小説】

敵なのに【守】【夕凪蝶葉】 ページ45

「…………ッ……？」

「………あ…起きた。」

…目が覚めると隊員に運ばれていた。
顔見知り程度だが助けて頂いた。
軽めのお礼を言い、下ろしてもらうと彼女は普段見かけない女性……恐らく敵だろう。…敵を抱えていた。

「…ええと…その方は…？」

「……えっと…スズメバチ。」

…？
…ああ、なるほど。コードネームか。
スズメバチ…確かレボディショナルの…

「………貴女、誰。」

急な質問。思わずポカーンとしてしまう。

「………あ、ええと…私は夕凪蝶葉です。…副隊長兼隊長をさせて頂いています。」

「………そっか」

そっけない、というかなんと返せば良いかわからなかった顔と共に返答が返ってくる。

「……この子、どうすればいい？…」

迷いのせいか少し不安げな彼女が尋ねてくる。だから私はなだめるように、優しく微笑んでこう返した。

「彼女は私が預かります。こう見えても今は隊長やっている訳ですし、任せて下さい。何より、貴女に重荷を抱えてもらいたくはない。」

彼女はとても驚いたような、それでいて何処か懐かしそうな顔をしている。特に名言を吐こうと思ったわけでも無いのに……


まあいい。きっと後にわかるから。

彼女と一旦別れ、“スズメバチ”を抱え、私の様な非情な者しか知らないであろう“幽閉部屋”へ向かう。
生け捕りにした敵はここにいつも入れていた。別に牢屋のように錆びていたりするわけじゃないししっかり設備も整っているが重苦しい空気と言うことに変わりはないから、あまり向かいたくない。


そう思ってたのは油断していた証拠だろう。彼女が目覚めることなんて考えていなかった。

今度は【攻】【甘城 アリス】→←あの人誰だっけ…【守】【白神琥珀】

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