Prisonerworld【小説】

あの人誰だっけ…【守】【白神琥珀】 ページ44

。



あの人多分、ガーディアの人…見たことある、気がする。抱えられてる方。助けなきゃ？だよね。

抱えてる方は…んー、誰…？
分かんない…。あ、じゃあ素直に聞けばいいのか。

なんて声掛けたらいいんだっけ…。えっと、まずは挨拶？って誰かが教えてくれた気がする。誰だっけ。


足音を立てずにそっと歩み寄る。
後ろまで来たところで、


「…こんにちは。……貴方誰？」



声をかけた。金髪の女は振り向いた。その人は、驚いたような顔。

その女、運ぶのに集中しすぎて背中が疎かになってる。戦場でそんなことしたら、間違いなく死ぬ。この人、戦闘のセンス微妙。

ナイフだと距離が近すぎて危ない。ここは拳銃。拳銃を女の頭に少し距離をとりながら突きつける。

振り返った金髪の女は答えた。


「貴方は…見ない顔だから、ガーディアの子ね。」

「質問、答えて。」

「変わった口調ね。話すの苦手なのかしら。私はレボディショナルのスズメバチ。」


スズメバチ？あの黄色い虫？あれか。チクってするやつ。あんまり可愛くないやつ。

あれ？それ、名前？？
ま、いっか。



明るい声色で答えようとする金髪の女。けど、動揺しているのがバレバレ。

焦るに決まってる。だって、この人、反撃できる体勢にないから。


ガーディアの人を縛って、抱えている。
こ、これは、前に何となく聞いたあれ？


「…えっと…、お持ち帰り？ってやつ？」

「いや、まぁ、そうだけど、そうじゃない…。」


えぇ、という顔で女は私を見た。

えぇ…。


んー、えっと…、このまま撃つ？



「……お持ち帰り？するの…？」


するなら撃つ。しないなら…生け捕り？にする。

だって、ガーディアの人はみんな、殺しちゃだめって口を揃えて言うから。別に、私は殺してしまっても仕方ないと思う。じゃないと私が殺される。

現にこの倒れた人も中途半端な情を持っているからこんなとこで、潰れる。

中途半端に情をかけて自分が死ぬくらいなら。


「私、優しくない。」

引き金を引こうとしたが、頭の中で誰かの声が聞こえた気がした。


"殺さないの。ひとは儚く弱い。だから守るの。守るのがガーディアだから。"

誰に言われたんだっけ……。






はぁ。面倒臭い。

りつのコピーした能力を使って、攻撃できない女の首筋に死なない程度に爪を立てた。

りつの能力は麻痺させる能力。女は麻痺して動けなくなる。そのうち意識も飛ぶ。


仕方ない。
結局2人共、本部に連れ帰ることにした。

敵なのに【守】【夕凪蝶葉】→←戦いの前触れ【攻】【白茨雪】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す