Prisonerworld【小説】

ロックオン【守】【夕凪蝶葉】 ページ38

警備が手薄で良かった。多少の見張りはあったが難なくやり過ごしてここまで来た。ここは恐らく放送室。隊長であろう者の声が聞こえる。


大量の鏡の破片を袋から取りだし、能力を使おうとする。指示を出せないように、かつあちら側に徹底的に深刻になる、引き返さざるを得なくなる様にするには。どうしたら良いだろう…

出来れば殺すことは避けたい。情けをかける訳じゃ無いがやりたくはない。
では、声帯を潰すか？無理だ。声を聞く限り最低二人はいる。潰す余裕もなければ二人一気に相手をしながら声帯を狙える程の余裕すら無いだろう。

派手に騒ぎを起こせば多少本部の方でも変化は生じるだろうが、そこで見張りに囲まれればそれこそ終わり。

ならば。

鏡の破片を集めナイフを作り、放送室の入り口前にはトラップを。これならそれなりの時間稼ぎは出来るだろうし、第一部隊程の力がなければ壊せない。

彼女の様に、二人の背後に音もなく、気配を殺し近付き、それぞれ二人に軽くナイフを当てて言い放つ。

「こんにちは。邪魔しに来ました。死にたくなければ手を挙げて。武器があれば捨てろ。」

私がこいつらにロックオンされているなら、私はこいつらに殺される確率は減る。別にどうだっていい。命に代えても仲間は守る。

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