Prisonerworld【小説】

一人だったら勝てない【守】【一 颯】 ページ30

形勢が俺、七奈ちゃんvs蝶葉ちゃんってなってるが、実際そうでもしないと蝶葉ちゃんに勝つのは凄く難しいのでこうしている。ちょっと申し訳ないけど、蝶葉ちゃんはこうする事でとんでもなく伸びるのだ。それに、同じ策略は二度と通用しない。
そうなると、俺一人で蝶葉ちゃんと戦うなら、残ってる策略が危ないものになってしまうものだから、七奈ちゃんに協力して貰った。ありがたい。

しゅるり、と髪を一つにまとめていた赤いリボンを解く。
サラサラしたなっがい俺の髪がうなじから滑り落ちてく。

「あ〜髪が無駄に重たい〜」

そんな腑抜けた声を出すと、少し離れた所に居る七奈ちゃんはぎょっとした顔でこちらを見る。恐らくなんで喋ったの！？位置バレるよ！？！？みたいな事を伝えたいんだろう。
そんな彼女の考え通り、俺の所にきらきらと輝く石が飛んで来る。

まぁ、知ってたよ、勿論ね。そう言う代わりに、顔に薄らと笑みを浮かべて、右手に無駄に長いリボンを握り込んで









＿勢い良く、横に、振りかぶった


ひゅいん、だなんて風を切る音がして、鞭に変化した赤いリボンは飛んで来た石を叩き落とす。鞭を振りかぶった時に垣間見えた蝶葉ちゃんの顔は、嘘でしょ、と言いたげな顔だった。
作戦が上手くいった俺は、にぃ、と笑顔を浮かべてみる。

この勝負は、蝶葉ちゃんに降参と言わせれば勝ちな訳だが、彼女は負けじと石を操り、七奈ちゃんに止められたら終わりなので彼女自体は動かない様にしている。凄い。
蝶葉ちゃんは横目で七奈ちゃんを見つけると、七奈ちゃんが瞬きをした隙に走って彼女が見えない所に移動した。驚きの瞬発力だ。
七奈ちゃんがあっ！？と声を漏らして蝶葉ちゃんが見える位置に移動しようとするが、それに伴い蝶葉ちゃんも移動するので七奈ちゃんの能力で止めてもらおうと思っていたが出来ない。
うん、正直なところコレ俺一人だったら、ジリ貧になってたし、勝てたか怪しい。
でも今は、七奈ちゃんも居る

七奈ちゃんに気を取られすぎて動きが覚束なくなった蝶葉ちゃんの隙をつくように、石を鞭で全部弾き飛ばすと同時にその勢いに任せて鞭を投げ捨てる。そしてポケットから葉っぱを出し即座にナイフに変え左手に構えると、蝶葉ちゃんに突進する。
蝶葉ちゃんが俺がナイフを持っている事に気付いた瞬間、蝶葉ちゃんは口を開いた。

「…降参、です。」
「七奈ちゃん居なかったら勝てなかった…」
「蝶葉強い…普通2対1でここまで耐える…？」

戦いの始まり 【守】 【龍神 湊】→←能力【夕凪蝶葉】【守】

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