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387話 ページ22

「嗚呼、彼女は宝石を隠して寝ているよ……君たちが知るまで、彼女はこのままさ」



 冷静になりかけた頭を再び沸騰させるダニーの囁き声。耳に纏わりつく気味の悪い響きにAは顔を歪めた。ザックは扉に取り付き、扉を蹴ったり叩いたりしながら怒鳴る。



「おい、なんだよそれ、全然説明になってねぇじゃねぇかふざけんな! 起きろ、レイ!」



 ───レイからの返事はない。そしてダニーからの返事も、なくなった。



「くっそ!」



 ザックはガンッと扉を蹴る。明らかに鈍い音に、このフロアの扉の頑丈さを思い知る。今もきっと扉にダメージはほとんどなく、痛むのはザックの足やら、Aの拳ばかりだろう。心底腹が立つ。ダニーにも、このフロアにも、つまらない罠にかかった自分にも。



「……あいつを、知るだぁ? んなたいそうな秘密があるって言うのかよ」



 ザックの独り言にAは考え込む。いよいよ地上も近くなったB1に辿り着くまで、レイの行動や態度にはしばしば違和感を覚えさせられた。特に、B2からB1に至るエレベーターの中。


 何かを言いかけて飲み込んだレイの瞳は、なにかに怯えるかのように揺れていた。フロアに降り立ってからは酷く動揺した様子だった。このフロアには何かがある───彼女の真実を示す、何かが。



「あぁ! 考えてもしゃあねぇ! A、行くぞ!」


「───うん、行こう」



 何もわからなくても、ここで考えてばかりでは解決しない。ダニーに言われた通りに、レイを知る。今はそれしかできることがなかったし、知るためには行くしか無かった。

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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れて申し訳ありません……!ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします! (2021年9月25日 2時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます!!楽しみに待っていました!夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください!! (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2021年9月1日 16時

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