376話 ページ11
「あー？んだここ……家の中じゃねぇか」
フロアに降り立ったザックはキョロキョロと辺りを見渡している。その隣、遅れて降り立ったAもまた辺りを見渡し、新たなフロアの内装を確かめる。
「家の……中」
それは確かに家の中のような、かつてAも過ごしていた様な、ごく普通の家の見た目をしていた。辺りに響く時計の針の音がやけに大きく感じられた。
しかし、これが地下ビルの中の一フロアなのだということははっきりと分かる。目の前にに続く薄暗い廊下──そこに連なる血の跡と、その先から漂ってくる花のにおい。
薄暗さと、血の赤と、作り物のような強烈な花のにおいに、Aは思わず息を飲む。
「血のあとがあんな……？ こっちに続いてんのか……？」
廊下に伸びた血の跡に気がついたザックが跡を辿って進み出す。その背中に、いつの間にかエレベーターから降りてきていたレイが妙に焦ったような声で呼びかける。
「待って、ザック……待って」
それは掠れていて、ほとんど耳に届きもしないような小さな声だった。しかし確かな必死さを含んでいて、Aは驚いて振り返る。
そんかAと違い、ザックはまるで聞こえていないかのように先へ進んでいく。もうすぐ地上に出られる──そんな高揚感に支配されたザックにレイの声は届かない。
「ダメ、お願い……！ 行かないで！」
レイは懇願するようにザックに駆け寄る。ザックの背中に細腕を伸ばし、そして振り絞るような声で絶叫する。
「──その部屋を見ないで！！」
レイの絶叫はかき消された。ザックが廊下の先のドアを開け、部屋に踏み込み、バタンとドアが閉まった音によって。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
