327話 ページ10
ガコン、と音を立ててエレベーターが停止した。内蔵が揺さぶられる感覚に連動するかのように心臓がドクン、と高鳴る。
いよいよ、B7。最初に目覚めた『最下層のB7』ではない、真のB7フロアだ。
エレベーターの扉が開くと、明るい照明の光がレイとザックの目を刺す。目が眩んだのは一瞬で、ザックがのしのしとエレベーターから降りたのに続いてレイもフロアに降り立った。
「なんだここ……やたら明るいな」
ザックがぼやくのを聞いてレイは上方を見上げた。等間隔で設置された電灯は他のフロアに比べて随分と短い感覚で並べられていて、点滅したりきれてしまっているものはひとつもない。
思えば、Aは暗闇が嫌いだった。暗闇に入るだけで怯え、肩を震わせ、呼吸の仕方を忘れるほどに恐れていた。やたらと明るい照明に照らされながら、ここは本当にAのフロアなのだと、実感させられる。
「本当にここにあいつがいるんだろうな」
「……多分。あの神父様は、きっと嘘はつかないと思う」
エレベーターが設置された部屋をぐるりと見渡しながら、そんな言葉を交わす。特に目立つものはなく、エレベーターからまっすぐ進んだ場所にドアがあるだけの部屋だった。
とりあえず、進むしかない。Aに話を聞くにも、会わなくては話が始まらない。
「ザック、いこう」
「あァ」
＊
ドアを開けるとそこにはやはり明るく照らされた、広い通路があった。直ぐに右折してしまい、通路の先は見えない。しん、と静まり返った通路の曲がり角を少し警戒しつつ曲がり、進む。やたらと静まり返ったフロアに心臓の音が響くような錯覚を覚えながら進めば、いくつかのドアを発見したが全てに鍵がかけられていた。
「チッ……ホント、ここのやつらは鍵が大好きだよなァ、オイ！」
「……そうだね」
思えば、このビルに来てから本当に色んな鍵を使って色んなドアを開けたものだ。このフロアから、出る時には。きっと、全てのドアが開いているはずだ。
どこか異質な空気が漂うフロアを、慎重に進む。しんとしている中に、二人の足音だけが響いている。不思議と不安な気持ちはなかった。Aが、レイとザックを傷つけることは無いと、心のどこかで信じているから。
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リア(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます！二度入ってしまったことはお気になさらず！一気読みしてくださったと聞いて嬉しい気持ちでいっぱいです。かなりゆっくりの更新となってしまっておりますが、今後もぜひ読んでくださると嬉しいです！ (2021年2月15日 22時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
あや - すみません、二回も同じ文が入ってしまいました（汗） (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです！ 次の展開にドキドキです！ 更新頑張ってください！ 楽しみに待ってます！ (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです！ 次の展開にドキドキです！ 更新頑張ってください！ 楽しみに待ってます！ (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 黒白の猫さん» コメントありがとうございます！まさか私の書いた文章でそんな風になって貰えるとは……！？(？)ここからの展開もお楽しみいただけると幸いです！ (2020年10月13日 19時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2020年7月13日 20時
