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350話 ページ33

「わかんねぇよ、そんなの」



 そんなわがままな言葉に対して返ってきたのはやはり、悲しいほどに真っ直ぐな言葉で。ザックは当たり前だろうと言わんばかりの声色で言い放つ。



「ぁ………………」



 もう、言葉が出てこない。Aはふらふらと後ずさると、そのまま崩れるように座り込んだ。前髪がふわりと顔にかかって、うつむいたその表情を隠す。が、わずかに見える口元は歪んでいた。



「……いいんだよ、ザック。わたしを救おうとしなくても」



 ため息のように、疲れ果てた声で呟く。



「もっと、もっと早くに死んでおくべきだった。記憶を取り戻した時に、このビルに来た時に、父親を殺した時に」



 言葉が途切れる。Aは唇を噛み締めると、肩を震わせた。



「……母さんが、死んだ時に。わたしも、死んでおけばよかったんだ」



 すぐ側に取り落としていた拳銃を手に取って。その銃口を頭に当てて微笑んでみせた。


 震える息を吐き出して。贖罪のように握った拳銃の引き金に指をかけた。
 ずっと、この拳銃で人を殺してきたから分かっている。この拳銃には、確実に弾が入っていて。ここで引き金を引けば自分は死ぬ。



「もう、わたしを救おうとしなくてもいいんだよ。わたし……わたしは、ちゃんと、死ぬから。自分の手で、死ねるから」



 この拳銃で最後に殺すのは、自分自身。
 これで、最期。

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リア(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!二度入ってしまったことはお気になさらず!一気読みしてくださったと聞いて嬉しい気持ちでいっぱいです。かなりゆっくりの更新となってしまっておりますが、今後もぜひ読んでくださると嬉しいです! (2021年2月15日 22時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
あや - すみません、二回も同じ文が入ってしまいました(汗) (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
あや - 思わず一気読みしてしまうほど面白いです! 次の展開にドキドキです! 更新頑張ってください!  楽しみに待ってます! (2021年2月4日 16時) (レス) id: e816ef2773 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 黒白の猫さん» コメントありがとうございます!まさか私の書いた文章でそんな風になって貰えるとは……!?(?)ここからの展開もお楽しみいただけると幸いです! (2020年10月13日 19時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2020年7月13日 20時

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