99話 ページ9
「…………」
「……起きて、A」
誰かに揺り動かされるような感覚と、誰かに名前を呼ばれたその声で、目が覚めた。ゆっくりとまぶたを開く。
目の前に、レイの顔があった。
「……起きた？」
「……うん、起きた」
ん、と声を漏らすと、目を擦って、伸びをする。眠る前に僅かではあるが、感じていた体の重みはすっかりなくなっていた。
気持ちのいい目覚めだった。
「ごめん、二人とももう起きてたんだ」
立ち上がりながら、Aはそう謝る。
「……ううん、気にしないで」
レイの声は透き通っていた。眠る前に比べて、随分と調子が良さそうだ。
「お前ら、もう行けんのか？」
少し離れたところに立っていたザックが少しイラついた様子でそう訊いてくる。
(……ザック、怒ってるのかな……わたしが、寝過ごしたから……)
これを追求したらまた怒りそうな気がする。Aは言葉を飲み込んで、笑顔を顔に貼り付けた。
「うん、もう行ける。レイは、どうかな」
「私も、行ける。だいぶスッキリしたから」
ザックはそれを聞くと、レイとAにさっさと背中を向けて、歩き出した。
「……なら、行くぞ。お前らのせいで、ムカつくもん見ちまった」
ザックがそう吐き捨てる。いつも以上に早足のザックを、小走りで追いかけながら、Aは小さく眉をしかめた。
(ムカつくもん見ちまった……嫌な夢でも見たのかな)
そう考えた時、Aの頭の中にも、何かぼんやりとしたものが浮かび上がってきた。
(そう言えば、わたしも夢を見ていた……)
どんな夢かは思い出せない。夢なんて、そんなものだ。
だけどたまに、夢を鮮烈に覚えていることがある強烈なインパクトを、脳髄に刻み込んでいく、そんな夢を見ることがあるのだ。
例えば、悪夢などを見た時。
例えば、過去の嫌な記憶が、夢の中で再現された時。
(ザック……)
一言も話さないザックを見つめる。胸の中に広がるもやもやとした気持ち悪い感触。
(今、過去のことをわたしが夢に見たなら……)
────嫌な思いを、するのだろうか。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д｀)w (2018年10月4日 21時) (
レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます！最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年9月8日 19時
