134話 ページ44
(どうしよう……ザックを引きずりながらこのフロアを探索するわけにもいかないけれど、薬だとか、治療できるものを探さないと……)
Aがそう考えながら、レイの方をチラリとみると、レイも同じことを考えているようで、小さく頷いた。
「……レイ。薬を探そう」
「私……ザックの傷なら、縫える」
レイが相変わらずの無表情でそう言ったが、Aは静かに首を振る。
「それだけじゃ、ダメ。ちゃんと薬を使わないと……消毒液と、止血剤。あとは……増血剤。でも、ザックは動けないし、動かさない方がいい。ここに置いていく」
ザックの腹に走る大きな傷からは、鮮やかな血が流れ続けている。その傷は、ザックがレイとAのために斬りつけたものだ。その無残な傷口に、胸が痛くなる。
レイはザックを見つめながら、何かを思い出しているかのように何度か瞬きをする。
「……わかった。……ザック、少し、待ってて」
レイが言い聞かせるようにザックに向かってそう言う。消え入りそうな呼吸で意識を無くしているザックに聞こえているかは分からないが、それを気にしている時間もない。
Aが、ぎゅっと拳を握って立ち上がると、レイも静かに立ち上がる。
(待ってて、ザック。どうか、死なないで)
Aは、一度だけザックを振り返ると、歩き出した。
本当はもう一度、振り返りたかった。ザックが、まだ生きていることを確認したい。でも、そんな時間すらも惜しい。
レイとAはエレベーターの前の廊下を抜けて、次の部屋へと進んだ。
────ザックを、のこして。
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д｀)w (2018年10月4日 21時) (
レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます！最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年9月8日 19時
