110話 ページ20
扉の向こうには、廊下が繋がっていた。ザックはレイとAを引き離して、速足に進んでいってしまう。
「ザック……」
Aがザックの名を呼んでも、ザックは振り返らない。まるで聞こえていないかのように、進み続けている。
しかし、その足取りはどこかふらついているようだった。
「……くそ」
ザックが小声でそう漏らすと、頭を押さえ込んで、その場にうずくまってしまった。カマが地面に転がって、カラン、と冷たい音を立てる。
(ザック……!)
レイとAははっと息をのむと、ザックの元に駆け出した。
*
うずくまったザックの頭の中に、ざあああああ────と、まるで雨の中にいるような音が響き始める。テレビのノイズのような砂嵐が脳内を埋め尽くしていた。
(あぁ……くそ。目の前がグラグラしやがる)
耳の中に響く耳障りな雨音と、視界を埋め尽くす砂嵐。そして、気分の悪さと共に、『あの日』の夜のことが思い出され始めた。
やがて、頭の中に蘇る景色。
それは、夢のような微睡みの中のようであって、現実味に満ちた気色悪さがあって。
非現実的で、現実的で、気が狂いそうになる。
(────俺が、施設の夫婦を殺したのは、死んだまま床に放置されていた子供の死体を、庭に埋めた日のことだったはずだ……)
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鬼灯黒狐(プロフ) - 更新私の方が遅いので大丈夫ですよ(;´д`)w (2018年10月4日 21時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 鬼灯黒狐さん» ありがとうございます!最近更新速度がおちてしまっていて申し訳ないです(>_<;)これからもがんばりますので見てやってくださいm(*_ _)m (2018年10月2日 7時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯黒狐(プロフ) - ザック最高...更新頑張ってください! (2018年9月30日 20時) (レス) id: 28c4276209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年9月8日 19時