37話 ページ38
急な指名に、Aは戸惑いつつ自分を指さした。
「あぁ。お前はここに残って俺と一緒に仕掛けを解け。俺一人じゃ無理だからな。それともお前ら、ずっと一緒じゃないとダメなのか？」
「一緒じゃないとダメなことはないけど……」
Aが少し不服そうに言うと、ザックは気だるそうにうなずいた。
「じゃあ決まりだ。分かったらお前はさっさと行け」
ザックがレイの肩を押す。いや、ほとんど突き飛ばしていた。
「分かった。行ってくる」
そう言ってレイは亀裂に入ろうとする。と、その前にザックの方をふりかえった。
「ねぇ」
「あぁ！？まだなんかあんのか！？」
「出来れば……私のお墓は、壊さないで」
レイが少し祈るような声で言う。ザックは顔を引きつらせて、そっぽを向く。
「……知るかよ」
その返事を聞いて、レイは黙って亀裂の奥へ入っていった。Aとザックは二人、取り残される。
(……すっごい気まずい)
とりあえず、仕掛けを探さなくてはならない。なんと声をかけようか、と考える。
「あの……ザックさん」
「なんだそれ。ザックでいい、ザックで」
「じゃあ、ザック」
Aは部屋全体を見回した。いくつもの墓が並ぶ異様な光景。どこかに仕掛けがあってもおかしくない。
「がんばろうか」
苦笑しながら、ザックにそう言う。ザックはやたらと大きなため息をして、「……おー」と返事する。
「けどよぉ、仕掛けを探すっても、どうすりゃいいんだよ」
「まぁ、墓石しかないからね……」
「……墓でも見ながらウロウロするか」
「とりあえずそうする？」
適当な結論を出して、Aは早速探索を始める。
まもなく、墓場の隅っこで土に埋もれていた古いつるはしを手に取った。
その時だった。ザックが自分の墓石に足をかけて、墓石をにらみつける。
「つーか、この墓ほんとうざってぇなぁ……ぶっ壊してやりてぇ」
(……やば)
Aは見つけたばかりのつるはしをさっと自分の後ろに隠した。これを渡したら、確実にザックは墓を壊しだす。
「おー、お前いいもん持ってんじゃねぇか。それ、よこせ」
見つかった。観念してつるはしを差し出すと、ザックは上機嫌でつるはしを振り回した。
「これでぶっ叩いてみるか」
Aはため息をついた。嬉嬉として墓石に向かってつるはしを振り上げるザックを横目で見ながら探索を続けることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
