14話 ページ15
小鳥は、やはり死んでいた。身体は二つに裂けて、ピクリとも動かない。
(さっきまで生きてたことが、嘘みたい……)
先ほどの出来事は一瞬すぎた。ほんの少しの間に小鳥の命は奪われた。
「……おいで。連れて行ってあげる」
レイは小鳥だったモノを手のひらの上に抱き上げた。そして辺りを見回して、壁に立てかけられた大きなシャベルに目をとめた。
(……埋めてあげるのかな)
Aは小鳥を手のひらから降ろして、重たそうにシャベルを持ち上げるレイの手に自分の手を重ねた。
「……重たいでしょ? わたしが掘るよ」
小鳥が入れるくらいの穴はすぐに掘れた。後は埋葬してあげるだけだ。レイが再び小鳥を抱き上げるのをシャベルを片手に眺める。
と、その時だった。
「────違う。」
レイが、今までとはまるで違う声色で呟いた。
「……違う。この小鳥は違う」
────こんなのじゃなかった。
────こんな姿じゃない。
────こんな、可哀想じゃない。
まるでなにかに取りつかれたかのようだった。
Aはそんなレイの姿を見て、息をのむ。
「……元の小鳥に、治してあげないと」
レイが指先を震わせながら、ポシェットから裁縫道具を取り出す。
「大丈夫だよ。もう痛くないから……」
レイは小鳥の裂け目を合わせて、その身体を何度もなでる。レイの顔はAからは見えなかったが、Aの目には何故か、口元だけで微笑むレイの姿が見える気がした。
「私の小鳥に────"直して"あげる」
大きな針と、小鳥の身体と同じ白い糸で、小鳥の身体を丁寧に縫い合わせていく。レイの手際はあまりにも良かった。────不気味なまでに。
Aは無意識に後ずさっていた。息をするのも忘れてレイを見つめる。
(この子は……一体……?)
「……ほら、キレイにくっついたね」
レイが原形を取り戻した小鳥をそっと穴の中に埋める。その傍らにはきらりと光るカードが落ちていた。レイはそれを拾い上げて、表と裏を確認した。
「A。これ、もしかしてエレベーターの……」
レイはまるで何も無かったかのようにAに訊いてきた。だが、Aの中は小鳥を縫い合わせるレイの姿でいっぱいだった。
「……エレベーターのカードかもしれないね」
取り繕った顔でこたえる。だが、Aの胸の中には未だ不安が渦巻いていた。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時