11話 ページ12
レイは小鳥のところまで帰ってくると、ポップコーンを手のひらの上にいくつか置いて、小鳥の方に手を差し出した。
ピィ、ピィ────。
小鳥はおそるおそる穴から出てくるとレイの手のひらに乗って、嬉しそうにポップコーンをつつく。
「全部食べてもいいんだよ」
そう優しい声で小鳥に話しかけるレイは心から安らいでいるように見える。
「……かわいいね。レイは、動物、好きなの？」
Aが訊くと、レイはうなずいた。
「うん。……そういえば、私は子犬を飼ってた。あの子犬も、すごくかわいかった」
レイはポップコーンを突く小鳥の身体をなでようとし、そこで気がついた。
「あれ、ケガしてる……？」
言われて、Aは小鳥をのぞきこんだ。片方の翼が鋭い刃物で切られたかのように、血塗れになっている。
(ひどい……これじゃ飛べない……)
Aはなんとかしてやりたい、と思ったが何もできることはない。薬や包帯もない。その時、レイが小鳥を膝へとおろす。
「大丈夫、じっとしていて」
レイはポシェットの中から包帯を取り出し、小鳥の身体に巻き始めた。
(あのポシェット、救急セットとか入ってるのかな？ すごい便利……)
Aがどうでもいいことを考えながら、手際よく包帯を巻いていくレイを見ていると、すぐ近くから。
────カラン……。
また不気味な音が聞こえてきた。包帯をきれいに巻き終えた小鳥は、その音を聞くとふるふると震えだした。
「……大丈夫、怖くないよ。一緒にここから出ようよ。……ね？」
レイが優しく小鳥に笑いかけた。しかし小鳥は不自然な程に怯えながらレイの手の中からするりと抜け出してしまった。
「ダメだよ、逃げちゃ」
小鳥は音のする方へと進んでいき、レイはそれを追う。
(なんだろう……なんだか、とても嫌な予感がする……！)
Aがそう感じて、レイを呼び戻そうとした時。
「ほら、こっちにおいで」
レイは微笑みながら小鳥に手を伸ばした。
そして、次の瞬間。
────ザシュッ
小鳥の身体が、真っ二つに弾け飛んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
