3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈３話〉 ページ22
「今日は。可愛いお嬢さん。あたしはクロア・クロス・エクセンティーナよ。イクスって呼んで。短い間だけど、宜しくね。」
そう自己紹介をされて、ティーは慌てて立ち上がり返答する。
「始めまして、トルダリッグス・ヴィリンと申します。有り難う御座います、イクスさんもお美しいですね。」
「もう、嬉しい事言ってくれるわね、ありがと。じゃあ直ぐ出発するわ。」
笑いかけてイクスは操縦車両に向かった。
ティーが座ったボックス席は２両目、つまり操縦車両の直ぐ後ろの一番前。そのお陰もあり、移動は早く終わって言われた通り早々に発車した。車外の煙突から出る、蒸気の高音と低音の和音や、がたごとと車輪が回る音が聞こえる。小さめに揺れる座席は、初めてであるティーにとっては新鮮で、又心地好い。歩く時の何倍もの速度で後ろに流されていく景色に見とれ、楽しく外を望む。
「ヴィリンってんだ。」
にわかに少し離れた左側から、ノイズまじりの声がした。ジェアイだ。いつの間にと思いつつ声をかけてみる。
「ええ、苗字はヴィリンです。」
「ふうん。」
ジェアイは相変わらずティーの方は見ず、素っ気ない。彼側の窓に映る顔は、やはりつまらなそうで、何処か遠くを見ているかのようだった。
何を話そうかと考えていると、
「アズバーン。」
唐突にジェアイが小さく言い放った。
「？」
「ジェアイ・アズバーン。俺のフルネーム。」
「どうしたんですか、急に。」
「んー、何か……要するに……一応？」
勿論そんな理由ではないが、不本意に曖昧にしてしまった。不思議に思ったので、本当の理由を聞きたかったが、止めておいた。代わりに、
「こっち来ませんか？教えてほしいことがあって。」
3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈４話〉→←3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈２話〉
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弧瑠十 奏(プロフ) - 00さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると頑張れます。これからも是非ともよろしくお願いいたします！ (2022年6月4日 18時) (
レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
00 - コメント失礼します。とても面白かったです！本当にお話を書くのがお上手ですね。パート2も楽しみにしています!! (2022年6月4日 11時) (レス) @page46 id: 4683564af1 (このIDを非表示/違反報告)
弧瑠十 奏(プロフ) - 更新かなり遅くなりました。申し訳ございません。 (2021年11月30日 6時) (レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつあめ(プロフ) - 検定頑張ってください (2020年10月26日 8時) (レス) id: f82d3976b3 (このIDを非表示/違反報告)
ソウ(プロフ) - 白夜の世界さん» 有り難う御座います！とても嬉しい御言葉です。これからも、頑張ります。 (2020年6月9日 16時) (レス) id: a9c96849d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弧瑠十 奏 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aaaD
作成日時：2020年2月25日 21時
