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A『…うんうん、あー、はい』
Aがベランダで電話をしている。聞こうとしているわけではないけれど、時々声が聞こえてしまう。でもその聞こえてくる声のほとんどが相槌のようで、聞き手に回ってるみたいだ。
A『えっ、いや、…え、友達と同居してるって言ったよね？挨拶？いや、え？』
なにやら慌てている。気になって窓を少し開けるとAは人差し指をたてて口元にあてた。喋るなってことだろう、頷いて窓を閉める。
A「くっそ暑かった〜〜」
キヨ「中で電話してもいいのに、聞かれてもいいなら」
A「先言えよ〜」
戻ってきたAはそんなふうにいつもの調子で話をする。さっきの電話の内容は俺には関係なかったのだろうか、同居人がどうとか言ってたような気もするけど。
A「…お盆って帰省する？」
キヨ「する予定はないけどするか？」
扇風機の前を陣取った彼女からの質問に素直に答えると、うーん、と悩み始めた。帰省してほしいならするけど、どうせ冬に最俺メンバーとAと帰省することになるだろうし、夏の帰省は考えてなかった。
A「…ずっとさ、親に仕事も適当に誤魔化してたし、大学時代の友達と同居してる、ってくらいしか言ってなかったし、キヨのことなんて話したことないんだけど、」
これからが本題、みたいなその前提の話に俺は充分びっくりした。けれど、よく考えれば仕事をはっきり言うなら俺のことも言うことになるし、同居について掘り下げても俺に繋がる、すると何も言えなくなるんだよな。
A「お母さんがここに来るって言い出して…」
キヨ「は？Aの母さんが？」
同居してる友達なんて普通は女友達だと思うだろうし、俺がいたら驚くだろう。…しかも家に来るってことは機材なんかも見られて仕事を詮索されかねない。てか同居してる男って絶対彼氏だと思われ…るのは別にいいんだけど、彼氏で合ってるけど。
A「どうしよ」
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作者名：ぽる。 | 作成日時：2019年7月25日 22時
