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通り過ぎたミモザの看板には
まだ、小さなライトが下から照らされていた。
まだお客さんいたのかな、そう思いながら駅に着くと、端にある柱を背に立つ。
いつ来るか分からない人を待つ時間ってこう緊張するものなんだなと感じながら時計を見る。
閉店時間は過ぎた。
駅の改札口を出る人入る人。
同じように誰かを待っている人。
ざわざわという音にのまれた景色の
そのひとりひとりにはそれぞれのドラマがあるんだよなぁ。
そんなことを以前より増してしみじみと思うAは
そのドラマを想像してみる。
そうすると携帯を見るよりもずっと
時間はあっという間に過ぎていく。
きっと30分は経ったと思う。
「Aちゃん？」
この声で身体がぴくりと反応する。
周りの人たちより頭ひとつ分高い背。
その足を止めてこちらを見るその姿。
Aから呼び止める予定が、簡単に見つけられてしまった。
「だれかとまちあわせです？」
そっとかけられる声は大きくなんて無いのに、
いつも耳の奥深くまでじんわり広がる。
「私、テヒョンくんを待ってた。」
そう言うとテヒョンくんは一瞬、目を大きくする。
「へぇ、それ、みせだとイケないようじ？」
テヒョンくんの向こうから
ひょこっと顔を出したジョングクくん。
2人は今、同じ黒髪だ。
「お店だとオーナーきっと閉店出来なくなるし、それに、今日はただ
…テヒョンくんに会いたくて」
しまった、とAは思う。
スムーズに言えた筈が、
かあっと顔が赤くなったのが自分でもよく分かったからだ。
「グギ、はい、これ。」
テヒョンくんが、ちゃり、という音と一緒に
ジョングクくんに何かを手渡す。
見ると家の鍵だ。
ジョングクくんは、それを受け取ると
「いちおういいますけど、
さいごにおぼれてもしらないですよ。」
はっと溜息か笑ったか曖昧な息を吐き
何故かぱっと駅の周りに視線をうつしてから
足を進める。
「ジョングクくん！」
その足を呼び止めてしまい、大きな瞳が向けられた。
「…ありがとう。」
「はぁ、なににですか。」
「分からないけど、急に言いたくなって。」
Aも咄嗟の言葉だったから理由を聞かれても答えられない。
隣からテヒョンくんの視線を感じる。
ジョングクくんは、2、3度瞬きをしてから、
何も言わずに行ってしまった。
姿が見えなくなってから
テヒョンくんを見上げた瞬間、
「ばしょ、いどうしよう。」
囁かれた。
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おけ(プロフ) - 一気に読みました‼︎面白いです！更新待ってます‼︎ (2022年1月17日 18時) (
レス) @page33 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
みたろう(プロフ) - このお話大好きで何度も読み返しています。更新楽しみに待っています。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page33 id: a75885931d (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 途中途中泣きながらここまで一気読みしました。切なすぎて苦しいです(; ;)更新楽しみに待ってます！二人が幸せになれますように！！ (2021年4月30日 7時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 1からここまで、イッキ読みでした！本当に、キュンキュンするだけじゃなくて、お話そのものが綺麗で、大好きです！ラスト更新、ずっと楽しみにしています！ (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0d04b07c3e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 素敵なお話にどんどん引き込まれて、1話から一気に読んでしまいました。読めば読むほど2人の未来は？！2人の幸せは？！と気付けば涙腺まで揺さぶられました。ラスト、2人の幸せを願いながら待ってます！ (2020年12月9日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年8月25日 16時
