あふれてしまう、そのまえに。〜6〜

From Korea to Korea. ページ6

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『…出ませんよ。』


『かけ直してくるでしょ？』


『向こうからかかってきたこと無いんで、どうだか。というか、なんでかけさせたんですか。』


『んー、その子と話してるグギを見たかったからかなぁ。』


『もうかけませんよ。』


高層のマンションの一室。
窓から見える眩しい景色。


淡いピンクの前髪から覗く目を細めて
眉上に手をかざして
ソウル市街を見下ろす。


『ねえ、こんなにいい天気なのに、さっきからずっと何やってんの。』


見下ろしながら、後ろのダイニングテーブルでテキストを広げるその人に言うと


『全然終わらないんですけど。ジミニヒョン、手伝ってください。』


肩を鳴らし答える声。


『日本でバカンス漬けのツケだよね。ちゃっかり女の子作ってるし、

悪い子だね？』


振り返って微笑む瞳。


冷房のよく効いた部屋に
携帯から流れるアップテンポの洋楽。


『悪い子でもいいって許可を得ました。』


ボールペンを片手でくるくる回し
くりっとした瞳で坦々と返す言葉に


『その子、あれでしょ？Aちゃんの友達でしょ？遊ぶ相手間違ったと思うよ。ね、ヒョン。』



可愛く首を傾げて、
ソファーに浅く座る人に目を向ける。


イヤフォンをしたまま手にした資料にペンを走らせるその人は
向けられた視線に気付き、イヤフォンを外す。


『ああごめん、なんだって？』


『グギが日本で女の子を泣かせてるって話です。
それと英語の課題が全然手に負えないって話です。』


『それはあまり感心しないな。英語はやっつけ作業じゃ身にならないって、ヒョンの話いつも聞いてないね？

の前に、待って。グギも日本の子と？』


少し驚いた表情でダイニングへ視線を投げる。


『テヒョンのと一緒にしちゃ駄目ですけどね？
2人とも日本で楽しんじゃってさぁ、』


窓枠に寄りかかり弧を描く瞳。



ソファーとダイニングと窓と
丁度トライアングルに位置する3人。


『…テヒョンは反動が怖いな。』


『ヒョンは今回テヒョンに合わせて帰国したんでしょ？』


その問いに
ソファーに深くかけ直して
思い出したように口を開ける。


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