Message in a bottle【叡智】 (ページ31)

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7月19日ページ31

「よし。本はこちらで全てということでよろしいですね？」
　本は全て荷台に詰め込まれた。はい、と最後のコンテナを持ちカンジは答える。回収に来たのは、同じく予備隊の組織の一つである「昇華隊」所属の人だった。カンジよりも幾らか年上に見える。真っ白な制服がまぶしい。
「……この本って、どうなるんですか？」
　荷台を見ながらカンジは言った。そうですね、と昇華隊員は彼の持つコンテナへ手をかけながら言った。
「まず、叡智の書庫の蔵書と照らし合わせます。万が一書庫にないものがあれば、それは書庫に収容されます。まあほとんどないケースですが。私ももう何年も働いてますが、見たことないですね」
「じゃあ、重複していたものは？」
「廃棄します」
　え、とその瞬間カンジはコンテナを持つ手に力を込めようとした。しかし間に合わず、拳はただ空気を握り締めるだけだった。「エンジンかけろー」と、コンテナを奪った昇華隊員はこともなげに荷台へそれを積み込んだ。
　手紙の入ったコンテナだった。

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