◇ ページ24
だがしかし
「はい、ぼっしゅー」
「あっなんで！」
机の反対側から腕を伸ばして、シャオちゃんのスマホをひったくる。おーおー通知のバイブ音鳴りすぎやん。マッサージ器か。
机の向こうで不満げな顔をしたシャオちゃんがスマホを取り返そうと腕を伸ばすのが見えて、上に掲げたまま頭の後ろに腕を下げる。
あ、舌打ちした。
「邪魔せんといてや！！」
「これを機に返信抑えたらええやんか」
「やから！俺は反応返したらんと、すぐみんな離れてってまうって…！」
女々しくスマホに縋るシャオロンに苛立ちを覚えて、スマホを持っていない手で机を叩いた。大きな音にシャオロンはびくりと肩を揺らした。
休憩スペースが静寂に包まれて、表の賑やかさが聞こえてくる。
「1回深呼吸して冷静に考えてみ？こんなストーカーじみた地雷女に付き合って、シャオちゃんがそうやって苦しんだ顔せんでええんやで？」
「…こんな子でも、俺の大事な客やし……」
「シャオちゃん自分の事、不人気不人気って言うとるけど、そこまででもないと思うで？」
嘘だ、そんな感情を浮かべた今にも泣きだしそうな顔をこちらに向ける。
「この前シャオちゃんに僕の客取られたしな」
「は、？」
「他のメンバーも何人かそういう奴居るし」
「嘘やんそんなん！！」
「ほんとやって〜」とへらりと返すが、まだまだ納得がいっていないといった顔。「俺んとこに来た子みんな、店来んの初めてや、って言うとったし…」なんてぶつぶつ言っている。
「シャオちゃん。女は"嘘"を武器にするんやで？最初っからシャオちゃん目当てやった、って印象付けるためにそう言うてるだけやわ」
「なんで、んな事…」
「そう言ったらシャオちゃん、その子の事気に掛けるやろ？」
「ぁ……」
不人気の自分を最初から選んでくれた、この子はいい子だ、そんなふうに錯覚するんだろう。時たま自己肯定感が低くなるシャオロンにはそういう傾向が見られる。
客側もなんとなくそれを感じ取っているのだろう。元々推していたメンバーより、シャオロンの方が反応を返してくれると思って、彼に近付いて行っている気がする。
事実、シャオロンの所に行って戻ってきた客はあまり居ない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 247人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡蓮(プロフ) - こう言う監 禁だけど愛のある、、、愛しかないお話大好きです^ ^ (1月4日 12時) (
レス) id: 4406a3fc8c (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 時雨さん» 【d!×はぴしゅが】が見たくて自己満で作ったモノなので、そのようなコメントをいただけてとても嬉しいです…！ (2023年6月14日 22時) (レス) id: 97349c3877 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - d！様も原作も好きなんで供給過多です)) (2023年6月13日 22時) (レス) id: 361218612a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
