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優しい世界《伍》 ページ32




明るい話題を続けるような気分にはならない。恐らく互いに思っているであろうことを、敢えて口に出した。


「実に裏切り者らしい末路だった」


千代は少しだけ眼を向ける。疲労の色が濃い。


「お前が慮る必要などない。組織を裏切った者に 安らかな死など贅沢品だ」

「……そうやって割り切れてると良いけどね、彼」


例の構成員は、これから友人を“裏切り者に仕立て上げた敵組織”を潰しにいくのだと、勇足で突撃していった。


それは救いというべきなのか、どうしようもない過ちなのか。


少なくとも、遠からずあの男も友を追うように死んでいくだろうと、死地に近い場所で育った僕の勘が告げている。


自分が生きたのは無作法の土地でありながらも、獣の道理が成り立つ場所だった。


生きるため以外の目的で、他者の命を奪う理由を知ったのは、マフィアという組織に属すようになってからのことだ。


《人間》というものをよく知らない僕にとっては、あれが間違いであるのかさえもわからない。


つくづく思う。友という関係は、まるで呪いだ。


それとも、日の当たる世界での友という関係は もっと健全で美しいものなのだろうか。


そこまで考えて、僕は自然に左右に首を振った。


彼らは正しくないのかもしれないが……決して 汚れたものではない。正しくもないのに美しい。


友人という概念は自分にはわからない。


だがそれは、ものの善悪すら超えて成り立ってしまう呪いだと、この時理解した。


「千代助」僕は無意識にあだ名を呼んだ。

「これだけ聞きたい」

「なに」

「…あの裏切り者(構成員の友)は、最期、安らかに死んだのか」


このような場所にいる以上、人の死からは避けられないだろう。きっとまともな人間などいない。


それでも、千代助だけは何かが違う。


これまで多くの仲間の死体を検分し、誰よりも丁寧に葬いを怠らなかった千代ならば。


裏切り者の最期に苦痛がなかったのか、調べているだろう。

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アバンギャルド・マボ(プロフ) - PVの方も見てくださってありがとうございます!!!いつか未来分岐のあるノベルゲーム版を書いていきたいと思っておりますので、その時は是非プレイしてやってください!! 遂行する前から読んでくださってありがとうございます…コメントめちゃくちゃ嬉しかったです… (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 読み込んでくださってありがとうございます(;_;) 台詞に言及してくださるのが嬉しすぎて…。 細かいことは気にしないを地で行く姿が伝わっていることが大変嬉しい!!ずるいぞお前って言いたくなるタイミングで男前を発揮する芥川が表現できててよかった!!! (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - あと、PV観ました。何あれすっごいですね!!音楽のセンスと文章ぴったりです!老爺ってまさか……子どもたちってまさか……と思いながら観てました笑。推敲する前から足立シリーズ好きなんですが、もっと好きになりました。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 不断の糸の芥川が好きすぎる。「どんな人生を歩んできたかなんて過去でしかない」って言えるのは君だけだよ……「文章だけで何を理解できる」か。これから大切なのは今であり未来だと言われてるみたいで。だからこのコンビは好きなんだ。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わあああいつも有難う御座います!!この作品は初めて自分がシリアスに着手したやつなので、一番好きだといっていただける方がいるのが最高にうれしいです・・・これからもお付き合いください!!! (2019年7月28日 22時) (レス) id: 940de82038 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年10月22日 0時

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