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スタートレック・ファンタズム《六》 ページ26



「質問をしたのは僕だ。この部屋にいた小僧はどうした」

「なぜ、ここにいるの。なぜ記憶を失わないの」


殺意と狂気の入り混じった強烈な気配が、自身に迫ってくるのを、芥川は察知した。


しかし女の周りにある荊はピクリとも動かない。


攻撃の正体を考えているうちに、タイムオーバーが訪れた。


「貴方、この子の、なんなのかしら」





視線が合う。明確な意思はなく、純粋な興味で尋ねている様子だった。


女は小首を傾げ、刀に手をかける。


「病人の移動だなんて、お墓よりずっと融通が利かないじゃない。それなのにみんな逃すだなんて。マフィアの諜報はよほど優秀なのね。

……それなのに、どうしてこの子だけ置いてきぼりにされてたのか。理由はわかる? 一瞬罠かと思ったの。これじゃあアッサリ殺してくださいって云ってるようなものじゃない」


女は伏せていた目を上げ、芥川を見た。


「この部屋にいた子供って、男の子のことでしょう。どこにいるも何も、彼を置いていったのは貴方たちじゃない。何を考えているのかしら」


そして―――芥川から一瞬も目を逸らさず、背面の荊の塊を斬り裂いた。


そこには、足立一之が眠っていた。


次の瞬間、黒布が病室を舞う。


鋭い刃物となった外套が、女の腕ごと茨を斬る。


次に飛び出した黒獣は、抵抗させる間も無く、女の首を斬り落とす。


硬質な床に固形物が落下したが、芥川の興味はとっくにそちらから失せていた。


芥川は 棘が刺さるのも気を留めず腕を伸ばし、囚われた足立に向かって感情的に叫んだ。


「起きろ愚図!!僕の声が聞こえないか…!!」


荊に囚われた少年は、芥川が病室に訪れた頃から変わらない様子で、 死んだように眠っている。


芥川は何とも言えない不快感を感じ、目を固く閉じた足立少年を叩き起こそうと−−−名前を紡ごうとした。


「………、………」


何度も何度も、頭に思い浮かべた名を声に出そうとし 唇を動かす。しかし掠れた空気が喉から絞り出されるだけで、音にならない。

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アバンギャルド・マボ(プロフ) - PVの方も見てくださってありがとうございます!!!いつか未来分岐のあるノベルゲーム版を書いていきたいと思っておりますので、その時は是非プレイしてやってください!! 遂行する前から読んでくださってありがとうございます…コメントめちゃくちゃ嬉しかったです… (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 読み込んでくださってありがとうございます(;_;) 台詞に言及してくださるのが嬉しすぎて…。 細かいことは気にしないを地で行く姿が伝わっていることが大変嬉しい!!ずるいぞお前って言いたくなるタイミングで男前を発揮する芥川が表現できててよかった!!! (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - あと、PV観ました。何あれすっごいですね!!音楽のセンスと文章ぴったりです!老爺ってまさか……子どもたちってまさか……と思いながら観てました笑。推敲する前から足立シリーズ好きなんですが、もっと好きになりました。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 不断の糸の芥川が好きすぎる。「どんな人生を歩んできたかなんて過去でしかない」って言えるのは君だけだよ……「文章だけで何を理解できる」か。これから大切なのは今であり未来だと言われてるみたいで。だからこのコンビは好きなんだ。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わあああいつも有難う御座います!!この作品は初めて自分がシリアスに着手したやつなので、一番好きだといっていただける方がいるのが最高にうれしいです・・・これからもお付き合いください!!! (2019年7月28日 22時) (レス) id: 940de82038 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年10月22日 0時

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