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「本当に仇討ちをする気なら、芥川君が来る前にさっさと飛行機を撃ち落していたんじゃないかね？わざわざ爆弾を二つも作るより、ミサイルの軌道計算をして飛行機に当てたほうがよっぽど簡単だろうに。化学よりも物理の方が得意じゃないか、君。
ああ、執務室の大穴、結構風が入ってきて寒いんだよねぇ。どこかのだれかが、あんな大きなロケットミサイルを飛ばすから！」
俺は何も言い返すことができなかった。
たしかに、その視点で見ると、俺は随分マフィアへの攻撃の手を緩めたように見えるだろう。
だが、正確に言えば、温情からの策略ではなかった。彼らが生きようが死のうが、俺にとってはどうでも良いことだったから。
―――ただ、このことで愛想を尽かしてほしいだけだったのだ。
芥川がものの見事にひっかかり、激怒してくれたときの安心感といったら！
ほんの一瞬だけ、あいつですら、俺を殺しておけば良かったと悔しがった。
きっと中也さんも同じように感じただろう。他人の手を汚して殺しの罪を着せるなんて、人間のすることじゃない。とんだ外道に堕ちたもんだ。そうやって、心の中でなじってくれれば良い。
無駄に情を寄せて、俺を哀れんで心を痛めるぐらいなら、いっそ嫌われた方が楽だ。
どうせ俺を処刑するのは…中也さんになってしまうのだから。
「そのことが、マフィアを巻き込まない工夫ですか？でも、何のために私が貴方たちに情けをかけなくてはならんのです」
「良い質問だね。勿論それについて、私なりの考察を用意してある。だが今は、２の根拠を述べる時だ。
軍事警察の大打撃。これは決定的だね。マフィア以上の被害を被っている。
足立一之の収容に失敗した上、意味もなくマフィアの本部にミサイルを撃つなんて…君が仕組んだことだと判らない他人が見たら、どう見ても『マフィアの制圧に失敗した愚かな集団』だよ。新聞を読んでごらん。福地殿が国民に頭を下げる大事件になってる」
懐かしい名前とともに差し出された新聞には、懐かしい人の、目を覆いたくなる姿が一面に映っている。
顔も見えないほど深く下げられた頭に集まる、紙面の罵詈雑言。
あんまりのことに耐え切れず、俺の手が震える。
士官候補生として学校に通っていた頃、この大人はいつも、少年たちの憧れだった。
国家を脅かす影があったことも、何一つ言い訳をせずに粛々と頭を垂れる。
幼き頃からのヒーローが、自分の代わりに社会に謝を辞している。
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アバンギャルド・マボ(プロフ) - 飛沫さん» ご読了ありがとうございます！！！書いて良かったです！！！！いつも応援のメッセージやイラストをありがとうございました（；＿；）完結までの糧になりました！これからも創作活動をやっていこうと思える応援の数々をありがとうございました！！！ (2020年6月27日 10時) (
レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 完結おめでとうございます! テストのせいで読むの遅れてしまいました。足立くんの切実な心を見れて嬉しかったですし、凄く感動しました!おつかれでした!! (2020年6月27日 7時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - よしな。さん» 最後まで読んでくださってありがとうございました！！！！闇堕ちする過程のお話なのでふざけることなくここまできてしまいましたが、シリアスでも最後までお付き合いくださったのがマジでありがたいです！書いてよかった！！！ありがとうございました！！！ (2020年6月23日 23時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 好きです……！闇堕ちして暗殺業で生きていく決意をした足立くんを見たときは泣きそうになりましたが、茨の道を進んでも彼はなんとか生きてほしい。やっぱりこのシリーズ凄く好きです。 (2020年6月22日 22時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 操咲作乃さん» こんにちは！元気です！！！コメントありがとうございます！！コントもシリアスも頑張って書いていきますので、おつきあいください笑笑笑笑 (2020年5月12日 15時) (レス) id: b5b4ae2a61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アバンギャルド・マボ | 作成日時：2020年5月10日 17時
