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朋にあるべきもの《壱》 ページ6

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「首領」


芥川は感情の籠らない声で呼びかけた。


「僕に……首領直轄の部下としての権限を下賜していただきたい」

「ということは」

「はい。御用命通り。僕は足立一之を【滅する】」


黒く淀んだ瞳は見開かれ、声音は冷徹だった。迷いはない。


「飼い主に牙を剥くなど言語道断。僕が始末して参ろう。……全て僕にお任せ頂きたく」


鴎外は見定める様に、じっと芥川の瞳を覗き込む。


血に飢えた狗のような姿でもなく、獣のような危うさもなく、冷淡な様子だ。


その瞳には、全てを己の手で終わらせるまでであるという決意が強く滲んでいた。


「わかった。許可しよう」


鴎外は許可をしたが、すぐに芥川を揺るがすように意地悪く問いかける。


「だがね……。君に一之君が殺せるのかい? 彼を殺すということの意味を、本当に君は理解して――」

「殺す? 一体何の話でしょうか」


はて、と鴎外は瞳を開いて芥川の顔を見た。先ほどと変わらぬ無表情。


何一つ変わらぬ無表情と、無骨な真顔。 冗談を口にする様子もない。


その顔のまま、小首を傾げて、芥川は淡々と言った。


「僕は滅する(、、、)のです。あの腐った根性を」


――――芥川は深く口角を上げた。


《僕の勝ちだ。》


鴎外の方へ笑みを抑えながら向き合っている。


鴎外は短時間の会話のうちに 極小の毒針を含まされたのに気がついたように、徐々に顔を顰めた。


「芥川君」


問いかけに答えることはなく、芥川は両手を外套の内に入れたまま直立不動である。


しかし、視線の意味に気がつきポケットのうちに入れた何かを取り出し、ひらりと目の前で揺らしてみせる。


それを目にした瞬間、鴎外は深く息をついた。


ごく僅かな時間に、気付かぬうちに仕掛けられた勝負に、自分は負けてしまったと悟った。



芥川が手にしていたのは録音機だった。


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伊織 - いえいえ!!私が気にしすぎてるだけなのでw お忙しい中目を通してくださってありがとうございました! (2021年8月18日 14時) (レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 伊織さん» また、先述のとおり、多忙につき反映が難しくなってきたため、誤字報告・指摘の窓口は一度閉めることになりました。 せっかくのコメントに、不誠実な対応をすることになっては心苦しいからです。。。 忍びないのですが、今後は「まあいっか!」で流してください( ; ; (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - そこまで読んでくださった方がいるとは……!誤字報告ありがとうございます!多忙につき、反映に時間がかかると思いますが、物語として重要なシーンなので訂正いたします!ありがとうございました!! (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - モールス信号なのですが...紹介ページ?みたいなところ、オじゃなくてエになってると思います。オは「・−・・・」かと...図々しくもすみません...! (2021年5月21日 21時) (レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - いつもありがとうございます!!これまでの芥川少年の行動を振り返ってみると「?!」の連続ですよね…笑笑 足立も芥川関係になるとグッズグズになるので五分五分かと思いつつ、やべえなと書いてる自分も思う時があります。 (2018年12月11日 19時) (レス) id: ea18c173c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2018年7月8日 15時

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