ターゲット・ロスト《弐》 ページ27
◆
「お前……僕との決闘に敗れたのだろう。ならば言うことを聞け、爆弾を解除しろ」
「俺が即席で作った爆弾なんて、諜報員が68人もいたらすぐ解除されちまうよ」
足立は出来の悪い生徒を教え導くように言った。
「だから解除できない理由の方を作らせてもらった。端的に言えば解除をした瞬間に、別の爆弾が作動するしかけを作ったんだ。
彼らなら手持ちの道具で逆探知をするだけで、どこに誘爆装置があるのかわかる」
少年は丁寧に地図を指差す。
既に計画を邪魔されない段階になってからでないと、足立は自身の策謀を誰にも漏らさない。
定まった運命が指さされたのは――ヨコハマの沿岸部、石油コンビナートだった。
「諜報員が生き残るために、飛行機の爆弾を解除すれば、国有油田の大爆発。組織犯罪法にガッツリ触れるぜ。
マフィアVS軍警はさらに深刻な戦況になる上に、開業許可証を渡したという不祥事によって、特務課は大炎上。
仮に諜報員が尊い自分犠牲を選んだとしても、彼らの決意だけじゃ切腹できねぇ。飛行機がどっちにしろ突っ込んじまうからな。
例えば、そうだなぁ。―――空を飛ぶような重力使いの手を借りて、介錯をして貰えば済むんじゃねえかな」
「中也さんを…巻き込むのか」
芥川の頭には、飛行機の窓に張り付きながら、通信機を通して必死に彼らを鼓舞する上司の姿が鮮明に浮かんでいた。
彼の一番弟子にも想像できないはずがない。
「貴様一人の復讐に、恩師を巻き込む必要はあったのか！！！」
「巻き込むだって？中也さんが【自分で】やるんだよ。組織のためなら、瀕死の弟子を軍警のモルモットに売り出すし、不始末をしでかした弟子を自分で処刑する。
お前だって見ていただろ。彼が薔薇の異能者に、弟子を売り払っていく瞬間をさ。……命令なら何だってやるんだぜ。あの男は」
それでも、足立の表情は変わらない。
部下の命を泣きながら奪う師の姿を明確に想像し、それでもなお、穏やかに微笑んでいた。
「同じことじゃないか。今回も本部に突撃してくる空飛ぶ爆弾を撃ち落とすだけだ。中にたまたま人が乗っていたとしても」
芥川は悲鳴のような咆哮をあげ、微笑む友を土壁に叩きつけた。
―――彼は自身のもう一つのミスに気がついてしまったのだ。
軍事施設で正体を明かされた時、彼を殺すべきであったということに。
それを認めることは、芥川にはできなかった。
自分だけはそれを認めてはならない。
それを何度も何度も、心の中で繰り返した。
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伊織 - いえいえ！！私が気にしすぎてるだけなのでw お忙しい中目を通してくださってありがとうございました！ (2021年8月18日 14時) (
レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 伊織さん» また、先述のとおり、多忙につき反映が難しくなってきたため、誤字報告・指摘の窓口は一度閉めることになりました。 せっかくのコメントに、不誠実な対応をすることになっては心苦しいからです。。。 忍びないのですが、今後は「まあいっか！」で流してください（ ; ; (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - そこまで読んでくださった方がいるとは……！誤字報告ありがとうございます！多忙につき、反映に時間がかかると思いますが、物語として重要なシーンなので訂正いたします！ありがとうございました！！ (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - モールス信号なのですが...紹介ページ？みたいなところ、オじゃなくてエになってると思います。オは「・−・・・」かと...図々しくもすみません...！ (2021年5月21日 21時) (レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - いつもありがとうございます！！これまでの芥川少年の行動を振り返ってみると「？！」の連続ですよね…笑笑 足立も芥川関係になるとグッズグズになるので五分五分かと思いつつ、やべえなと書いてる自分も思う時があります。 (2018年12月11日 19時) (レス) id: ea18c173c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アバンギャルド・マボ | 作成日時：2018年7月8日 15時
