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こんにちは、赤の他人様《四》 ページ19

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「……Qの地下牢を破壊したのはお前だな」

「そこまで突き止めたんだなぁ。証拠も上がったのか?」


確信を込めて呟いた言葉に、謎かけを楽しむように千代が身を乗り出す。


「ない。しかし犯人像は3つ浮かび上がっている。

1つ目。太宰さんが制御していた危険異能者を解放することが、マフィアの脅威になると知っている。

2つ目。ミミックとの抗争によるマフィアの疲弊状況を把握している。

それから3つ目―――」

「マフィアに恨みがある、か。そりゃそうだな。相当な怨恨がないと動機に繋がらねぇ」


と、千代は地を這うような低い声で言った。


「その条件全てが当てはまるのが俺だってことか。それなら太宰治や坂口安吾も含まれると思うんだがね。
両方とも友達を上からの命令で失ってる訳だし。
……太宰さんのことは真っ先に疑わなかったのか?」

「確かに考えはじめた時点ではな。そもそもお前は、容疑者ですらなかった。身動きの取れない怪我人だとばかりに思っていたからな。

だが、千代助は尾崎幹部になり代わっていた。何度考え直しても、犯人としてお前が当て嵌まってしまう」


RRRRRR。


これまで鳴らなかった携帯が、タイミングを見計ったかのように動き出す。


呼び出し音が警報のようだった。


《中原中也》


「……こちら芥川」


端末を耳に当てる前から、嫌な予感がした。


『やりやがった、――あんのクソガキ、』

「中也さん?」


受話器の向こうでは何が起こっているのか。


燃え盛る炎の弾ける音とけたたましい爆発が、叫ぶ中也さんの声を遮っていた。


『おい芥川!! 今、紅葉の姐さんと逢ってるのか?!だったら今すぐ逃げろ!!そいつは――』

「なぁー、」


ドン。と手から強く端末が弾き出される。硝煙の煙が、撃ち抜かれた端末から上がり続けていた。


「人と話してるってときに電話はねぇだろ。さびしいじゃん」


拗ねたような口調とはうらはらに、千代の目には光がない。


静かに向けられた銃口が、『次は頭を狙うぞ』と笑うように煙を上げている。


これまで尾崎幹部だと思われていたのは、足立一之の変装だった。そのことに気がついても問題がないからこそ、千代助は姿を表したのだろう。


——この男は優秀な暗殺者だ。決して無駄なことはしない。


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アバンギャルド・マボ(プロフ) - 更生したかに思えた先の人生でも不幸は続いて。最終的に彼は。…………という暗喩です笑笑笑笑笑笑 足立が人を初めて切った例の事件では15歳だったので、この凄惨な小説と映画を思い出さずにはいられませんでした。 (どちらかというと映画版を思い出しております。) (2019年9月9日 21時) (レス) id: 6a86a136d3 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 姫歌さん!その通りです笑笑 キューブリックによって映像化もされた、あのやべえ小説の題名をお借りしています。時計仕掛けのオレンジの主人公は、15歳の少年でしたよね。彼は非行に走って、暴力の一切を怯え嫌うようになるほどのトラウマを刑務所で植え付けられ、 (2019年9月9日 21時) (レス) id: 6a86a136d3 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - コメント失礼します。時計仕掛けのオレンジとはアントニイ・バージェス著の時計仕掛けのオレンジでしょうか? (2019年9月9日 16時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 南雲藍琉さん» コメントありがとうございます!! 忙しい中読んでくださって本当に有難う御座います…色々重く受け止めないでくださいお願いします(真顔 続きができました!長い話になっちゃいましたが、のんびりとお付き合いください笑笑 (2018年7月8日 15時) (レス) id: ea18c173c6 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - ここ最近は2週連続検定やらテストやらで時間が取れず、読み込むことが出来ないためコメントは控えていたのですが、そのために作者様に誤解を生む結果になっていたのなら申し訳ありません。足立くんの話は更新される度読んでいますし、これからも楽しみに待ってます。 (2018年7月7日 14時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2018年3月11日 18時

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