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兄が撃たれてから1週間。
結論から言うと、兄は生きていた。
一時は死線をさまよったようだけど、なんとか乗りこえたらしい。
あ、それと、私が意識を失う前に聞こえた兄の焦った声。
あれは、あの男が鉄パイプで私の頭を殴ろうとしていたのを止めようとした時の声だった。とジョディさんから聞いた。
お察し通り、かはわからないけど、結局、その鉄パイプも秀一くんが狙撃で弾き飛ばしたらしいから、私は頭を殴られずにこうやって生きている。
っていうか、秀一くんすごいわよね。
どれだけあの男の持っていたものを吹っ飛ばしてるのよ。
タイミングも狙撃も的確すぎて、人間やめてるんじゃないかって疑うレベルよ。
そんなことを考えながら、プリンを一口、口へ運ぶ。
「…A、少し太ったんじゃないか?」
『秀一くんってデリカシーがないよね』
「甘いものばかり食べていたらもっと太るぞ」
『……じゃあ、秀一くんは目の前に美味しそうなお菓子があるのに、それを食べずに見てるだけなんて我慢できる?』
「余裕だな」
『即答かよ。我慢できるなんてやっぱり人間やめてるんじゃないの』
そう言ってから、隣から呆れた視線を送ってくる秀一くんを無視して、最後の一口を口の中へ放り込む。
するとそこへ、病室のドアがガラリと開いた音が聞こえた。
「A、調子はどう?」
『ジョディさん!!』
扉を開き、手にケーキ屋さんの紙袋を持ってにこりと微笑んだジョディさん。
『そ、それは!!!駅前のケーキ屋さんの紙袋じゃないですか!!あそこのケーキすごく美味しいから、すぐ売り切れちゃってなかなか買えないのに!もしかして買ってきてくれたんですか!?』
「ええ、キャメルがね」
チラリと後ろに視線を投げるジョディさん。
そこには、少し照れたような顔をしたキャメルさんとジェイムズさんが立っていた。
『キャメルさんが!?何それ嬉しい!!キャメルさんって顔怖いけどやっぱり好きです!!愛してます!!!』
「えっ!!?」
「キャメル、あれを間に受けるな。あいつはあの店のケーキをもらうといつもあんな感じだ。適当に聞き流していい」
「き、聞き流す…」
少しオロオロとしているキャメルさんを放っておいて、いそいそとケーキの箱を開ける。
あ、このモンブラン美味しそう。
これから食べようかしら。
モンブランを箱から出そうと手を伸ばした時、ジェイムズさんが静かに口を開いた。
「A君、少し話があるのだが…」
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花松ロン(プロフ) - 初めまして。一気読みさせていただきました!!超面白くて、もう2人の関係にニヤニヤが止まりません笑 更新楽しみに待ってます!! (2023年2月23日 23時) (レス) @page37 id: 3241c90ca3 (このIDを非表示/違反報告)
霜月千(プロフ) - 現在一気読みしているんですがめっちゃんこ面白いです‼︎更新楽しみにずっと待ってます (2022年5月15日 12時) (レス) id: daaa59ce20 (このIDを非表示/違反報告)
いちごきゃらめる(プロフ) - めちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます (2021年2月24日 17時) (レス) id: 654b6b5b60 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです!続きが気になるとこで終わっている....続きがめっちゃ気になります!いつか更新して頂けることを願っています!ぜひよろしくお願いします!これからも応援してます!!!!!!!!! (2020年9月13日 16時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!番外編の後に本編も必ず更新する予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2019年3月22日 12時